DeepSeekは今使っても大丈夫?最新V4.1と個人情報をめぐる問題を総整理

著者: Lucy.·2026年10月19日 (月)
DeepSeekは今使っても大丈夫?最新V4.1と個人情報をめぐる問題を総整理

DeepSeekを「安いけれど不安な中国のAI」とだけ覚えているなら、新たな選択肢を見逃しているかもしれません。推論AIの性能とモデルの公開方法で注目を集めたDeepSeekは、今やゲーム制作や3Dモデリングにも狙いを広げています。

今、使っても大丈夫なのでしょうか?記事下部のAIB比較カードで、普段使っているAIとDeepSeekの回答を直接比べてみてください。顧客情報や未公開の業務資料については、まず社内の利用基準と、利用するサービスのデータ処理条件を確認する必要があります。 同じDeepSeekでも、公式アプリ、他社のサービス、自分でインストールして使う場合では、データの通り道が異なります。

何が画期的だったのか、最新V4.1で何が変わったのか、そして個人情報をめぐる問題の実際の論点まで整理します。

DeepSeekが画期的だった理由:性能・効率・公開

DeepSeekは「低価格なAI」として注目されました。その核心は、高い性能をより少ない学習コストで実現し、モデルを自ら運用できる形で公開したことにあります。

2024年末に公開されたV3は、質問を処理するたびにモデル全体を使うのではなく、必要な部分を選んで使う構造に、メモリと学習の最適化を組み合わせました。巨大なAIをより効率よく開発・運用する方法を示したのです。

V3の報告書が示した正式な学習実行にかかった費用の推計額は、557万6,000ドルです。規模感をつかむための比較値として、スタンフォード大学のAI Index 2024は、GPT-4の学習にかかった計算コストを約7,800万ドルと推計しています。数千万ドル規模の学習費用が語られていた市場で、DeepSeekの数百万ドルという数字は、効率の高さへの関心を集めました。ただし、両者は算定方法や学習条件が異なります。また、V3の金額は、それ以前の研究・実験費用を除いた正式な学習実行の費用であり、会社全体の開発費やR1の開発費ではありません。

2025年1月に登場したR1は、問題を段階的に解いていく推論能力に重点を置きました。同社が公開した一部の数学・コーディング・推論の評価では、当時のOpenAI o1に近い結果を示し、モデルの重みも公開しました。

ここでいう「オープンウェイト」とは、AIが学習した成果である「モデルの重み」を公開することです。簡単に言えば、完成したAIをダウンロードし、必要な性能を備えたコンピューターや自社のサーバーで動かせるようにすることです。サービスにアクセスして使うだけでなく、どこで、どのように運用するかを自分で選べます。ただし、学習に使ったデータや開発過程まですべて公開するという意味ではなく、実行に必要な機器や費用も別途必要です。

R1があらゆる業務で優れていた、という意味ではありません。重要なのは、個人には比較できる選択肢が、企業にはコストや運用方法を選ぶ余地が生まれたことです。DeepSeekが投げかけた問いは明確です。「私たちは、AIのどの性能やサービスにお金を払っているのか?」

最新のV4.1-Flash-1017は、名前の末尾の数字に注目

2026年10月19日時点で、最新の公開アップデートはDeepSeek-V4.1-Flash-1017です。10月17日に公式Web・アプリ・APIに適用され、APIで呼び出す際のモデル名はdeepseek-flashです。9月に先行して登場したV4.1シリーズの改良版に当たります。

末尾の1017をカレンダーの日付として読めば10月17日。実際に今回のアップデートが公開された日です。「10月17日版です」という日付の印が付いているようなものです。名前の前半だけを見て同じモデルだと判断すると、その後に加わった変更を見逃してしまいます。

同社は、モデルが自ら結果を評価するフィードバックを強化学習に活用し、ゲーム制作や3Dモデリングなどのプロジェクトを最初から最後まで遂行する能力を改善したと説明しています。前のバージョンと比べ、作業完了までの時間と出力の長さを減らしたとも発表しました。

同時に公開されたSearchはWeb検索結果を探し、Fetchは指定したWebページを読み込んでテキストとして取得します。AIが最新の資料を調べながら作業するために組み合わせるツールです。詳しい条件は、DeepSeekの検索・取得APIに関するニュースで確認できます。

最新モデルのコードと重みは、MITライセンスで公開されました。簡単に言えば、ダウンロードして使用・改変し、商用サービスにも活用できるということです。コピーや再配布の際は、元の著作権表示とライセンスの告知を併せて残す必要があります。

DeepSeekは使用禁止?個人情報をめぐる問題の実際の論点

韓国での個人情報調査は、この問題を理解するための具体的な事例です。DeepSeekは2025年2月15日、韓国のアプリストアで新規ダウンロードを一時停止し、4月28日に再開しました。既存のアプリやWebサイトまですべて利用できなくした措置ではありません。

実際に確認された問題もありました。韓国の個人情報保護委員会は、利用者が入力したプロンプトが中国のクラウド事業者Volcano Engineに送信されており、国外移転に関する告知や同意などが不十分だったと発表しました。質問欄に入力した内容がどこへ送られるのか、十分に知らせていなかったことが問題の中心です。

一方、キーボード入力のパターンやリズムを実際に収集していたという主張は、当局の確認結果とは異なります。 プライバシーポリシーには記載されていましたが、実際に収集した事実はなかったと、同委員会は確認しました。Volcano Engineへのプロンプトの新たな移転は、4月10日から停止されたことも確認されています。

改善の状況も、引き続き確認する必要があります。同委員会は、2026年9月のプライバシーポリシー評価に関するフォローアップ点検で、個人情報に関する権利行使の請求が円滑に受け付け・処理されるよう、DeepSeekに運用体制の改善を勧告しました。ダウンロードの再開は、データ処理に関するすべての問題が解消されたことを意味しません。

アプリ・API・自社運用。同じモデルでも選択は変わる

オープンウェイトのモデルは、さまざまな事業者が提供したり、自ら運用したりできます。そのため、AIを開発した会社と、実際にサービスを運営する会社は異なる場合があります。 同じDeepSeekでも、どの事業者のサーバーで動かすかによって、データの通り道や適用される条件が変わります。

確認すべきなのは、開発元、サービス運営者、サーバーとデータの保存場所、外部送信の有無、保存・学習利用の方針です。サーバーが国内にあるというだけで、すべてのデータが国内にとどまるとは断定できません。

  • 公式Web・アプリ: 最も手軽な始め方です。DeepSeekが運営するサービスのデータ処理条件を確認します。
  • 公式API: 自社のプログラムなどに接続する方法です。APIに適用される契約や処理条件を確認します。
  • 他社のサービス: DeepSeekのモデルを使っているという説明だけで判断せず、実際の運営者とデータの経路を確認します。
  • 自分でインストール・運用: 公開された重みを自分の環境で実行します。外部接続、ログ、サーバーのセキュリティは自ら管理します。

公式サービスの現在の韓国語プライバシーポリシーでは、「すべての人のためにモデルを改善」に当たる設定をオフにして、学習への利用を拒否する方法が案内されています。この設定で、サービス提供に必要なすべての送信や保存がなくなるわけではありません。

比較は簡単なところから始めましょう。公開されている製品説明を顧客向けの回答に書き換える依頼や、テスト用コードの修正依頼を、普段使っているAIとDeepSeekに同じ内容で入力します。正確さ、実際に使う言語での表現、修正回数、総コストを併せて確認すると、業務に合うかどうかの違いが見えてきます。

過去のDeepSeekではなく、今日の結果で選ぼう

過去の問題だけを理由に比較の対象から外すと、新たな選択肢を見逃します。価格だけを見て切り替えると、確認や修正にかえって時間がかかることもあります。最新モデルの得意な作業が、自分の繰り返し行う業務と重なるかどうか、直接確かめてみてください。

普段使っているAIと同じ質問を入力し、自分が欲しい答えをどちらがより正確で役立つ形にできるか、確認してみましょう。

AIBは、AIの比較と企業のAI導入を支援しています。どのモデルをどの業務に組み合わせるか迷ったら、繰り返し行う業務を一つ挙げてご相談ください。性能表の比較にとどまらず、実際の業務に合う選定基準を一緒に整理します。

出典