生成AI経由の購買拡大、エージェンティック・コマース進展

Impress DIGITAL X2026年10月19日 (月)
  • •生成AI経由のEC流入が急増し、2025年9月にはコンバージョン率で他経路を逆転
  • •Adobe調査、流入は10倍超、商品検討後の購入率は他経路より16%高い
  • •ATカーニー、2030年に約10兆~12兆ドル規模の購買を予測、ECにAIOやデータ整備必要

米Adobeの「Adobe Digital Insight」によると、米国のオンライン消費は2025年10月に前年比8.2%増の887億ドルでした。モバイル消費は全体の51.4%に当たる456億ドルで、前年比11.6%増でした。日本では小売りのEC化率が約10%となり、2025年度にネットショッピングを利用した2人以上世帯の割合は前年度比1.6%増の56.9%でした。

生成AIシステムからウェブサイトへの流入は、2024年7月から2025年2月までに10倍以上に増えました。生成AIを入口に商品を探してECサイトへ移るトラフィックは前年比1200%増でした。生成AI経由の利用者は、他サービス経由の利用者よりサイト滞在時間や閲覧ページ数が多く、購買に結びつく比率も16%高いとAdobeは報告しています。2025年9月には、購入や問い合わせなどの成果に至った割合を示すコンバージョン率で、生成AI経由が他経路を上回りました。

生成AIは検索だけでなく、希望に沿う商品の選択、理解、比較検討も担い始めています。記事は、比較が必要な商品や高額商品、投資商品、旅行、保険、PC、家電で活用が進むと述べています。購買者の意図をくみ取り商品を選ぶ購買エージェントへ発展する動きもあります。

「エージェンティック・コマース」は、AIエージェントが複雑な商品選定、企業間の調達・発注、日用品の補充などを自動化する仕組みです。米ATカーニーは、商品発見から比較、交渉、検証、支払いまでをAIエージェントが実行する購買・決済モデルと定義しています。同社は2030年までに年間オンライン販売の約4分の1に当たる約10兆~12兆ドルを動かす可能性があると予測しています。

実装例には、OpenAIのChatGPTショッピング機能、Perplexityの「Buy with Pro」、Amazonの自動再注文があります。ChatGPTは会話で条件を受け取り、提携ECサイトと連携して商品候補の検索や推奨を行います。Buy with Proは検索から購入までを提供し、一部商品では決済も実行できます。今後は購入履歴、好み、予算、在庫、配送時間を考慮し、選定から購入・決済まで進める形が目指されています。

購買情報の収集を人からAIが担うようになると、ECサイトにはAI検索で自社コンテンツを引用・推奨させる「AIO(AI検索向けの情報最適化)」が必要になります。商品情報の正確性、信頼性、網羅性、明確な文脈、更新の速さに加え、在庫や配送データも選択に使える形で整える必要があります。価格・在庫・配送のリアルタイム連携と構造化された商品データが求められ、古いシステムでは対応コストが増えるため、記事はデータ統合基盤の変革を挙げています。統合基盤は需要予測や商品戦略にも活用できます。生成AIからのアクセス増加に伴いAPIへのサイバー攻撃も増えるとして、偽サイトや脆弱性の排除、DDoS対策が不可欠だとしています。