Anthropic、社内雇用とAI予測の調査公開

Ledge AI2026年10月23日 (金)
Anthropic、社内雇用とAI予測の調査公開
  • •Anthropic、雇用変化とAIの将来予測を比べる2本の調査報告書を公開
  • •技術部門の採用に占めるジュニア層は27%から9%、AI稼働時間は人間の約6倍
  • •2030年にAIが担う業務時間の予測は従業員75%、米国就業者28%

Anthropicは2026年10月16日(現地時間)、社内の雇用や働き方の変化を調べた報告書と、従業員および米国の一般市民がAIの将来をどう予測するかを比べた報告書の2本を公開しました。同社は、AI導入の最前線にある自社の状況が、経済全体の仕事の進め方や採用、労働需要の変化を示す先行指標になり得るとしています。一方、AI研究企業と一般企業では業務への導入方法が異なるとも説明しています。

社内の雇用を分析した報告書「How employment is changing at Anthropic」は、雇用、AI利用、業務実績、採用時の評価記録などのデータと、従業員17人へのインタビューに基づきます。2025年初め以降、技術部門の従業員に占めるジュニア層は21%から14%に減り、同部門の採用に占める割合は27%から9%に下がりました。技術部門の採用人数自体は増えていますが、営業、財務、採用などの部門はそれ以上の速度で拡大しています。全従業員に占める技術部門の比率も過去1年間で61%から56%に低下しました。

技術職の採用では、自律性や判断力の評価が重視されるようになり、専門知識の評価の割合は低下しました。技術職と非技術職の双方で、AIツールを効果的に使った経験も重視されています。社内のAIエージェントの合計稼働時間は2026年3月に人間の労働時間を超え、8月には従業員が個別に使う対話型エージェントだけで人間の約6倍に達しました。稼働時間は推論やツール操作に使った時間を集計し、人間の労働時間は従業員数と週40時間勤務を前提に推計しています。

2025年12月を100とした比較では、エンジニア1人当たりのコードのコミット件数は5.1倍、法務担当者1人当たりの契約処理件数は3.1倍、営業担当者1人当たりの成約件数は1.7倍になりました。同じ従業員を追跡した分析でも、AIツール導入後に成果量が増える傾向がありました。一方、大量の出力を確認する人間の注意力が業務のボトルネックになっています。非技術職の従業員が対話型Claudeの出力をすべて読むには、週の労働時間の半分以上が必要との推計です。従業員はエージェントの作業を監視するダッシュボードや、別のエージェントに出力を確認させる仕組みを作っており、AIへの作業の委任に加えて設計や監督も担っています。

自動化に伴う配置転換も進んでいます。Claudeの画面に表示する文章などを作っていたチームは、エージェントによる制作を支える仕組みを整えた後、Claudeの評価やプロンプト作成へ担当を移しました。Anthropicは職務の変化を早期に把握し、社内配置転換につなげる仕組みも整えています。

もう1本の報告書「The AI expectations gap」は、2026年8月に米国成人10,980人とAnthropic従業員1,334人を調査して比較しました。2030年までにAIが担えると考える自分の業務時間は、従業員が平均75%、米国の就業者が平均28%でした。自分の仕事の80%以上をAIが担えるとの回答は従業員で半数を超え、米国の就業者では5%でした。AIが2030年までにノーベル賞級の科学的発見をできるとの予測は従業員91%、米国成人39%です。要約やメールの下書きなどで、確認・修正を含めた所要時間が4分の1以下になるとの回答は、従業員59%、仕事でAIを使う米国成人26%でした。

両グループとも、自分の仕事をAIが多く担えると考える人ほど2030年の失業率を高く予測する傾向がありました。ただし、自分の仕事がAIの影響を受ける程度をそろえて比べると、失業率の予測はおおむね近くなりました。Anthropicは、予測の違いは雇用の仕組みだけでなく、AIの能力に関する経験や認識にも結び付いていると分析しています。従業員の95%は調査時点から12カ月間で同社の従業員数が増えると予測しましたが、これは個人の回答であり、会社の採用計画を示すものではありません。米国成人調査はオンラインパネルを対象に人口構成に合わせて回答を重み付けし、社内調査には重み付けをしていません。Anthropicは、今回の比較が将来の変化そのものを実証したものではないとしています。