AWSとStardog、AIエージェント向けセマンティックレイヤーを構築
- •AWSとStardogは、エンタープライズデータをAIエージェント向けに統合するセマンティックレイヤーを導入した。
- •StardogのナレッジグラフとAmazon Bedrockを統合し、AuroraおよびRedshift全体で推論を行うアーキテクチャを実現した。
- •データ移行(ETL)なしで一貫したビジネス定義とガバナンスを維持する意味レイヤーを活用する。
Amazon Web Services(AWS)は、エージェント型AIアプリケーション向けのセマンティックレイヤー(ビジネス文脈を理解するデータ抽象化層)の構築ガイドを公開した。この統合では、StardogのSemantic AIプラットフォームとAmazon Bedrock AgentCoreを活用し、Amazon AuroraやAmazon Redshiftに分散するデータを管理する。このアーキテクチャにより、AIエージェントはETLによるデータ転送を行わずに、「顧客」や「高額購入者」といった概念の共有定義に基づきビジネスデータを推論できる。
エンタープライズ分析では、従来データモデルの解釈を人手に頼ることでボトルネックが発生していた。エージェント型分析では、推論や計画立案、クエリ実行を行う自律型エージェントにこの責任を移行させる。Stardogは、データを固定的なテーブル行ではなく、安定した一意の識別子を持つエンティティとして接続するナレッジグラフを実装し、データの断片化という課題を解決する。これらのエンティティはSPARQL言語でクエリされ、実行時にAmazon AuroraやAmazon Redshift向けのSQLに変換される仕組みだ。
提案された本番環境アーキテクチャは3層で構成される。まずモデル層では、推論と計画立案のためにAmazon Bedrock上のAnthropic Claude Sonnet 4.6を利用する。次にStardogが提供する意味レイヤーが、データアクセスを制御しビジネスルールを適用することで、エージェントが一貫性のある信頼できる情報に到達できるようにする。最後にAmazon Bedrock AgentCoreが管理するエージェント実行環境層が、ホスティング、認証、運用セキュリティを担当する。このフレームワークにより、ナレッジグラフのサブセットである名前付きグラフを使用して、ユーザー権限に基づき社会保障番号などの機密情報をマスクする、きめ細かなアクセス制御が可能となる。
このアーキテクチャの実装例として、顧客360度ビューのユースケースが示されている。運用データベース(Aurora)と分析ウェアハウス(Redshift)に分断された顧客IDを共通の安定したエンティティ定義にマッピングすることで、AIエージェントは「特定の地域の高額購入者」を特定するといった複雑なクエリを、システムを跨いで実行できる。データは元の場所に保存されたまま、セマンティックレイヤーがソースの結合論理を管理する。この手法により、企業はデータコンテキストを統合し、複雑な分析タスクを安全に自動化できる。