企業のAI変革、社内の壁が導入を阻む
- •Microsoftは営業担当者とCopilotを作り直し、利用が止まったツールの定着を図った
- •Cognizant調査では32%が生産性向上を報告、非技術分野への投資企業は導入中断リスクが60%高かった
- •経営幹部はインフラ、監督体制、規制、従業員支援を企業のAI導入の障壁に挙げた
Microsoftは、日常業務で役立たないとして従業員が使わなくなったCopilotの定着を図るため、営業担当者と協力してツールを改良しました。Newsweekが10月21日に開いた、旧来型産業のAI変革をテーマとするウェビナーで、Microsoft幹部のケイティ・ジョージ(Katy George)は、技術者が営業担当者に同行し、会議準備用のCopilotプロンプト集「Sales Chat」と、業務を簡素化して助言を行うエージェントを共同開発したと述べました。
Yahooの社長兼最高執行責任者(COO)マット・サンチェス(Matt Sanchez)は、従業員が個人プロジェクトでAIを試していた一方、同社の開発システムは中核ソフトウェアでエージェントを使える状態ではなかったと説明しました。Yahooは、コードと開発ツールに4~6週間取り組むことで、後に技術者の作業速度を高められるかを試す実証実験を行いました。その結果を受け、経営陣は技術チームを一つずつ増やしながら取り組みを拡大しました。Qualcomm幹部のドゥルガ・マラディ(Durga Malladi)は、AIを広く適用する前に企業が基盤を整える必要があると述べました。
ウェビナーで紹介されたCognizantの調査は、企業幹部1,200人を対象に実施され、32%が実質的な生産性向上を報告しました。一方、約4分の1は自社がAI導入を一時停止または終了したと回答しました。技術インフラの成熟度が低い企業では、計算能力やデータ準備を優先する企業に比べ、非技術分野へのAI投資を広げた企業の方が、導入を一時停止または断念する可能性が60%高くなりました。ジョージは、インフラへの支出は事業目標に沿って決めるべきだと述べました。また、エージェントでソフトウェア開発の一部を速めても、別の工程がボトルネックになり得ると警告しました。コード作成が速くなれば、技術者が確認するコードが増える場合があります。大きな成果を報告するMicrosoftのチームは、明確な仕様、再利用できる知識、エージェントの行動範囲、新たなテストと検証の方法を重視しています。
サンチェスによると、Yahooの技術者は現在、ソフトウェアの設計、要件定義、成果物が期待に沿うかの確認により多くの時間を費やしています。顧客が受け入れられる変更には限りがあるため、企業は製品の変更を慎重に選ぶ必要があるとも述べました。ジョージは、Microsoftがクラウドデータセンターの脆弱性の発見や、内部監査担当者によるリスクの事前評価にAIを使っていると説明しました。マラディは、計画と知的財産が相互に依存する半導体事業の調整で、AIがチームによる選択肢の比較に役立つと述べました。
マラディによると、AIをクラウド、社内サーバー、端末のどこで動かすかは、接続状況、処理要件、運用コスト、機密データの制限によって決まります。エージェントが処理の実行場所を決める際に従う方針を設けることに触れ、チームが自動判断を調べて誤りを修正できるよう、ガードレールと追跡可能性が必要だと強調しました。EY幹部のロドリゴ・マダネス(Rodrigo Madanes)は、海外展開では予想外のデータ主権、プライバシー、データ保持の規則に直面する場合があると述べました。事業・財務の幹部が戦略を主導し、技術、製品、人事、法務、コンプライアンスの担当者が運営チームを構成する体制を推奨しました。
サンチェスは、YahooのAI施策に最高財務責任者(CFO)と、技術、製品、従業員の課題を担う部門横断チームが関わったと述べました。同社は、仕事の進め方の変化に不安を感じる従業員にコーチングと同僚の支援を提供し、責任を問わず参加を辞退できる選択肢も設けました。また、すでにAIを試している従業員に権限を与えるよう、経営幹部に促しました。ジョージによると、Microsoftでは同じ職種の従業員およそ15人が毎週集まり、AIに詳しい同僚の進行で、うまくいったことや次に試すことを共有しています。エージェントがより多くの実作業を担うようになるにつれ、従業員には、より強いビジネス判断力、専門知識、組織全体のつながりへの理解が必要になるとジョージは見ています。