米国の送電網別にLLM学習の排出削減策を比較
- •研究チームが、米国の送電網をまたぐLLaMA 3.1の学習で、時間の調整と場所の移動による排出削減策を比較。
- •ERCOTでは排出量が最大36%減少し、複数の送電網運用機関をまたぐ構成では67.3%減少。
- •PJMでは地域間の移動による削減は0.3%にとどまり、学習の一時停止ではS1比で最大17.2%減少。
Sudhir Ganesh Gopalakrishnan、Arvind P. Ravikumar、Sergio Castellanosの研究チームは、大規模言語モデルの学習時刻や場所を変えることで、電力使用に伴うCO₂排出量をどれだけ減らせるか評価しました。研究は2026年に『Environmental Research: Infrastructure and Sustainability』に掲載されました。分析にはWattTimeが提供する2025年の限界運転時CO₂排出率(MOER)データを用い、米国の4送電網運用機関、CAISO、ERCOT、MISO、PJMの計43地域を対象としました。代表的な学習負荷にはMetaのLLaMA 3.1シリーズを使いました。
研究チームは4つのシナリオをシミュレーションしました。S1は炭素排出を考慮して立地を選ぶものの、運用中に柔軟な調整をしない通常運用です。S2は排出量が一定のしきい値に達すると学習を一時停止し、S3は送電網地域間で理想的に学習負荷を移し、S4はその移動に伴う追加負荷も考慮します。結果は送電網ごとに異なりました。ERCOTでは、風力発電の多い地域と太陽光発電の多い地域の間で学習を移すと、排出量が最大36%減少しました。複数の送電網運用機関をまたぐ構成では67.3%減り、CAISOとERCOTが学習時間の80%超を担いました。
地域ごとの排出特性が似ているPJMでは、学習場所の移動による排出削減は0.3%にとどまりました。一方、学習の一時停止では、S1と比べて排出量が最大17.2%減少しました。一時停止による排出削減と学習時間の関係は非線形で、中程度の削減なら学習時間はわずかに延びるだけですが、排出量をほぼゼロに近づけるには、基準のほぼ4倍の学習時間が必要でした。研究チームは、送電網ごとの対策が短期的な脱炭素化の指針になると述べ、データ移行に伴う負荷の実測を今後の改善点に挙げました。