急速なAI導入を見直す企業
- •急速なAI導入で誤りや低品質な成果、コスト増、セキュリティリスクが生じ、一部企業は利用制限や研修拡充へ
- •経営幹部の90%は生産性向上をまだ実感せず、AI担当幹部の36%はAI関連事故を報告
- •2026年の米国で11万2,000件超の人員削減発表がAIに言及、Metaは人事評価でのAI利用を除外
急速にAIを導入した企業では、誤りや低品質な成果、コスト増、プライバシー・セキュリティ上のリスクが表面化しています。一部の企業は従業員の利用を制限し、経験者の職務を復活させ、研修を拡充しています。アトランタ連邦準備銀行のワーキングペーパーによると、米国の経営幹部の90%は、自社のAI活用で生産性がまだ向上していないと回答しました。先月公表されたアーンスト・アンド・ヤングの調査では、年間売上高が10億ドル以上の企業で、AI担当上級幹部の36%がデータ消失、財務・ブランドへの損害、業務の中断を伴うAI関連事故を報告しました。
ロイターによると、Metaは従業員が技術面やセキュリティ面の問題対応に費やす時間が増えたため、人員削減とAIエージェント活用拡大の計画を縮小しました。従業員のLinkedIn投稿によると、2023年の効率化策で特に中間管理職を減らした後、同社は管理職層を再び拡大しています。マイクロソフトのライアン・ロスランスキー副社長は、同僚がAIで作成した文書を受け取り、AIで要約したものの、新しい考えは得られなかったと述べました。AIが読解と文章作成を担い、「同じようなものの海」を生む「悪循環」に陥る恐れがあると警告しています。ビジネス・インサイダーによると、ウォルマートの店舗・倉庫従業員からは、無理な目標、不正確な業務割り当てや勤務表、AIツールによる誤警報が報告されています。
ツール利用の拡大でコスト負担が増す中、マイクロソフトとマッキンゼーは従業員の利用を制限しています。ロイターによると、パランティア、ブーズ・アレン・ハミルトン、エヌビディアも、組織のデータがAI企業に開示される懸念から利用を制限しています。マイクロソフトのキャスリーン・ホーガンは、アクセスや利用機会を与えるだけでは変革につながらないと同社が学んだと述べました。人事管理協会のジョニー・C・テイラー・ジュニア会長によると、雇用主は単発のウェビナーから、職務に応じた継続的な研修へ移っています。7月公表のIndeed調査では、従業員の半数超が必要なAI研修を受けていないと回答し、AIスキルを持つ従業員を率いる準備ができていると感じた管理職は45%でした。マイクロソフトは、若手エンジニアを経験豊富な同僚と組ませることで生産性が高まったとしています。
ペンシルベニア大学の経営学教授ジェシカ・ライフは、AIは一見もっともらしくても隠れた弱点のある成果物を作り、業務の流れの中で誤りを広げる可能性があると述べました。3Mをめぐる訴訟は、AIを使った専門業務のリスクを示しました。弁護士のウィル・モイは、専門家の報告書が1万4,500ページを数時間でまとめたように見え、作成者がChatGPTに頼ったのではないかと疑いました。陪審は、3Mがガス検知システムを適切に検査しなかったと認定し、24人の住宅所有者に6,150万ドルを支払うよう命じました。3Mは専門家が独自に事実を検討し、報告書の作成にAIを使ったと説明しました。専門家の弁護士は、ChatGPTは書式、構成、草案作成を補助しただけで、意見や専門的判断には関与していないと述べました。
5月に公表されたピッツバーグ大学の研究は、企業がAIに投資して人員を削減した後も生産性は上昇しなかったと結論づけました。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、2026年に入ってから米国で発表された人員削減のうち、11万2,000件超がAIに言及しました。ロイターによると、Metaは今年初め、AIの訓練を目的とした従業員のパソコン操作記録を一時停止しました。その後、従業員に対し、AIの導入や利用を人事評価に反映しないと伝えたと、ジ・インフォメーションが報じました。ピッツバーグ大学の研究者マーク・マーは、AIへの投資を急いで従業員を解雇したことから学んだ管理職もいると述べ、AI関連の人員削減発表後には企業の株価が下落する傾向もあると指摘しました。