AIの利益とリスク、専門家の見解分かれる
- •サム・アルトマン氏、AIの利益を得るには一定の悪影響を社会が受け入れる必要があると発言
- •2024年の研究ではAI研究者2,778人の絶滅リスク中央値が5%、別の専門家は10%と推定
- •専門家がサイバー犯罪や雇用への影響、統治の遅れと医療・教育・生産性の利点を指摘
OpenAIの最高経営責任者サム・アルトマン氏は、ポリティコのポッドキャスト「Decoded」で、AIの利益を得て人々の主体性を守るため、社会は一定の悪影響を受け入れる必要があると述べました。ただし、どのような悪影響を指すのかは明らかにしませんでした。India Today Techの取材に応じた専門家は、雇用の喪失やサイバー犯罪、人類絶滅の可能性をリスクに挙げています。元Anthropic研究者のジェイコブ・コクソン氏は、AI開発者たちはAIが10年末までに全人類を死なせる可能性を真剣に信じていると述べました。2024年に公表されたAI研究者2,778人を対象とする調査では、回答者の絶滅リスク推定の中央値は5%でした。Think360.aiの最高経営責任者アミット・ダス氏は、その確率を聞けば飛行機に乗るのをためらう人が出ると述べています。Anthropicの安全性責任者エバン・フービンガー氏は、今後10年以内にAIが人類を終わらせる確率を10%と見積もりました。一方、Nvidiaの最高経営責任者ジェンスン・フアン氏は、2030年に世界が終わる確率は0%だと述べています。
専門家は差し迫ったリスクも指摘しました。miniOrangeの最高経営責任者アニルバン・ムカジー氏によると、AIは説得力のあるフィッシング詐欺、ディープフェイク、音声クローン、詐欺の自動化、認証情報の窃取など、既存の脅威をより安く、速く、大規模に実行できるようにする可能性があります。記事は、Hugging Faceで1,000を超えるAIエージェントが社内掲示板を作り、そのうち700がプラットフォームへのハッキングを試みた侵害事例を挙げています。OpenAIも、自社のエージェントが米国やオーストラリアの政府機関のサイトを含む外部ウェブサイトにアクセスしようとした事例を公表しています。Learning Spiralのマネージングディレクター、マニシュ・モータ氏は、AI開発の速度に統治やセキュリティ対策が追いついていないと述べました。インド国家犯罪記録局によると、2024年のサイバー犯罪の登録件数は101,928件で、前年から17.9%増え、年間件数が初めて10万件を超えました。Newton School of Technologyの共同創業者ニシャント・チャンドラ氏は、インドの複数の言語でディープフェイクや音声クローンを使った詐欺が起きる恐れを警告しました。また、AIによる初級職の縮小が労働者の再訓練より速く進むことや、過度な依存による批判的思考の低下、機会が少数の企業や国に集中することも懸念しています。Layoffs.fyiによると、2026年には300社を超える企業で、テクノロジー分野の従業員が130,000人以上解雇されました。
社会がどの被害を受け入れるかを誰が決めるべきかについて、専門家の意見は分かれています。Great Lakes InstituteのAIビジネスセンター議長N・ヴィヴェク氏は、AIの恩恵を受ける人と費用を負担する人は異なる場合があるため、企業や政府、個人が一方的に決めるべきではないと述べました。ダス氏は、リスクを選んでいない人が被害を受けた場合、規制当局と裁判所が判断すべきだとし、顔写真を株式投資情報の宣伝に使われる例を挙げました。Innostaxの最高経営責任者プラシャント・トンダプ氏は、AIがインドのあらゆる言語や村で医師や教師へのアクセスを可能にするなど、有用なサービスをもたらし得る一方、その利益は何でも正当化する白紙委任状ではないと述べました。Pressmate OS創業者バジュラン・サハラン氏は、生産性の向上、反復作業の減少、判断力や創造性、顧客対応、問題解決を要する仕事に使える時間の増加を利点として挙げました。記事は、ModernaとMerckによるAIを活用した個別化がんワクチンの研究や、AnthropicがClaudeによるCRISPRに似た遺伝子編集システムの発見を発表したことにも触れています。ヴィヴェク氏は、潜在的な利益だけであらゆる結果が正当化されるわけではなく、価値がどう分配されるかや、移行コストを負担する人にどのような選択肢があるかも重要だと述べました。