Figma、編集モデルの訓練方法を公開

Figma Blog2026年11月3日 (火)
Figma、編集モデルの訓練方法を公開
  • •Figmaのデザインエージェントは、ベータ版から一般提供までに標準的な作業を約20%高速化
  • •専門家によるテストで、従来版を上回るか同等の結果が62%、利用者の評価は33%上昇
  • •精密なキャンバス編集に向け、教師あり微調整と強化学習を推進。70Bモデルを25万件超の例で訓練

Figmaは、キャンバス上の既存デザインを精密に変更する編集モデルが、全利用者向けに提供を始めたFigmaエージェントの一部だと説明しました。ベータ版から一般提供までに、標準的な作業は約20%速くなったとしています。専門のデザイナーによる比較テストでは、エージェントは従来の本番版を62%の割合で上回るか同等の結果を出し、利用者の評価は33%高まり、作業を取り消す頻度は60%減りました。自社で事後学習したデザインモデルが担う作業の割合は2倍を超え、メッセージ当たりの平均コストも下がったとFigmaは報告しています。モデル、ツール、実行環境を含むエージェント全体の改善によるものだとしています。

Figmaは当初、キャンバス上の作品の余白や色を変えたり、フィードバックを受けてレイアウトを修正したりする作業を支援することを目指しました。こうした作業は繰り返しが多く、自動で正しさを確かめにくいため、編集に時間がかかるとデザイナーの作業の流れが途切れると説明しています。開発開始時の最先端モデルは、長いシステムプロンプトを使わなければFigmaの構文を理解できず、多くのトークンを消費しました。そこで、望ましい出力と組にした例でモデルを訓練する教師あり微調整を採用しました。各例には元のデザイン、生成した編集依頼、成功した編集を含めました。モデルがキャンバスに適用できる変更を出力できるよう、デザインにはFigma独自のファイル形式を使い、デザインシステムの素材が必要な作業ではテーマやコンポーネントも合成プロンプトに含めました。

より大規模な教師モデルが編集案を生成し、Figmaは決定的な検証器と視覚モデルによる判定で、出力の有効性と依頼の達成度を確認しました。生成工程では評価者のフィードバックを使って編集案を修正できます。Figmaによると、以前のLlama 3.3 70Bモデルは25万件を超える例で訓練され、当時の編集タスクで最上位モデルと競える水準になりました。

その後Figmaは、Qwenモデル、Muse Spark Open、Inklingなど、より高性能な基盤モデルへ移行しました。このタスクでは教師あり微調整だけでは限界があり、模倣学習が汎化を損なう可能性や、異なる側面を網羅する多数の例が必要で、学習効率が低いことを挙げています。Figmaは強化学習にも投資し、デザイン領域の環境、例の多様性、報酬モデル、デザイナーの優先事項を反映する専門家作成の基準を改善しています。

Figmaは、モデルがFigma上で作業できるか、指示に従えるか、有用な編集を素早く低コストで行えるかを評価しています。評価ではデザインの構造と見た目の判断を確認し、専門デザイナーが基準の調整と結果のレビューを担います。デザイン品質には整列やコントラストなど別々の尺度があり、見栄えがよくても依頼を満たさなかったり、誤ったコンポーネントを使ったりする場合があると同社は説明しています。未公開の編集モデル(Qwen 3.8 27Bを事後学習)の他社モデルとの比較も、製品判断の材料の一つです。

Figmaエージェントは、専門編集モデルと用途別の外部モデルを組み合わせます。画像生成、ベクター、新しいデザイン案には外部モデルを使い、得意とする精密な編集や反復作業には自社モデルを使います。エージェントはキャンバスやデザインシステムの情報に加え、依頼された変更を行うツールも利用します。事後学習によってモデルがこの作業の一部を担いやすくなるとFigmaは述べています。同社は、このモデルが反復的なデザイン作業を支えるエージェント全体の改善の一要素であり、顧客のプライバシーと好みに配慮して訓練しているとしています。