臨床AIの安全性に限界、レビューが指摘
- •2026年のナラティブレビューが、生成AIによる臨床判断と患者安全への影響を評価
- •GPT-4の支援で医師の治療方針判断スコアが6.5ポイント上昇
- •評価の約5%だけが実際の診療データを使用、監督下での臨床利用を提言
2026年にInternational Health Sciences Reviewで発表されたナラティブレビューは、生成AIが臨床判断と患者安全に及ぼす影響を評価しました。医学的知識に合わせたモデルの回答が科学的合意と一致した割合は92.6%で、臨床医の92.9%と近い水準でした。診断推論では、診断向けに最適化されたモデルが難しい症例で支援なしの臨床医を上回り、利用した臨床医の鑑別診断も改善しました。一方、汎用チャットボットを用いた無作為化試験では、医師の診断推論に有意な改善は見られませんでしたが、モデル単独の成績は両方の医師グループを上回りました。
治療方針の判断では、GPT-4の支援を受けた医師のスコアは、従来の情報源を使った医師より6.5ポイント高くなりました。しかし、実際の患者データを使った模擬診療では、大規模言語モデル(大量の文章で学習した言語モデル)の診断精度は医師より低く、診療指針に従えず、与えられる情報の順序や量にも左右されました。
レビューは、繰り返し確認された安全上の危険を4つ挙げました。偽の臨床情報を含む指示を与えた場合、誤情報を生成する割合は50%から82%に達しました。患者向けメッセージの草案は、評価の7.1%で重大な危害につながる危険があると判定されました。ほかに、臨床医が自らの判断をモデルの評価に置き換える自動化バイアスや、人種・ジェンダーの固定観念の再現も確認されました。公表された評価のうち、実際の診療データを使ったものは約5%でした。著者らは、生成AIを自律的な意思決定に使うのではなく、監督下で臨床推論を支援する用途にとどめるべきだと結論づけています。安全性はモデルの精度だけでなく、人間とAIのやり取りの設計にも左右されるとして、臨床利用のための実務的な安全策を検討しました。