Google、Apigee HybridにMCP対応を追加

Google Developers2026年10月15日 (木)
  • •GoogleがApigee hybrid 1.17.0でMCPに対応、データプレーンを顧客のKubernetesクラスター内で稼働
  • •APIリクエストはクラスター内にとどまり、サイドカーが設定を取得、制御プレーンからの着信接続は不要
  • •ツール単位のアクセス制御、APIインサイトの絞り込み、MCP呼び出しのトレースコンテキスト転送にも対応

GoogleはApigee hybridにModel Context Protocol(AIエージェントがツールを利用するための通信規約)対応を追加しました。MCPデータプレーンは顧客のKubernetesクラスター内で動作します。この機能は2026年9月14日リリースのApigee hybrid 1.17.0で利用可能となり、API実行環境を自社データセンター、コロケーション施設、または別のパブリッククラウド内に置く顧客を対象としています。Googleによると、機能は昨年12月に発表したApigee MCPプレビューを基盤としており、既存APIをAIエージェントが検出して呼び出せるツールに変換します。

顧客はOpenAPI 3.0.x仕様でAPIを記述し、MCP Discovery Proxyを作成します。各操作がMCPツールとなり、エージェントはJSON-RPCのtools/listメソッドで利用可能なツールを確認し、tools/callで実行します。Apigeeが通信方式とデータ形式の変換を処理します。ハイブリッド環境では、Google Cloud上の制御プレーンが仕様からツール設定を生成し、顧客クラスター内のサイドカーが定期的に取得します。リクエストはクラスター内で認証され、バックエンドサービスに送られます。リクエスト時にMCPの要求や応答がGoogle Cloudへ渡ることはなく、制御プレーンがクラスターへの接続を開始しないため、Googleからの着信ネットワーク経路も不要です。

この機能は顧客がApigee hybridですでに使用しているKubernetes基盤を引き継ぎ、既存のapigee-watcher IDを再利用します。組織ごとに制御プレーンからの許可設定が1回必要ですが、新しいGoogleサービスアカウントやIAMロールは不要です。SubscriptionとEvaluationの組織で利用でき、Data Residency設定の組織も対象です。設定は組織の制御プレーンの場所から取得し、実行時のリクエストはクラスター内にとどまります。MCPエンドポイントはOAuth 2.0、OpenID Connect、APIキー検証、組み込みポリシーなど、Apigeeのセキュリティおよびガバナンス機能も引き継ぎます。API製品では、クライアントが利用できる操作をツール単位で制限し、ツールごとの割り当て上限を設定できます。その場合、tools/listにはそのクライアントが使えるツールだけが返されます。

Apigee API hubは、デプロイ済みのMCP Discovery ProxyをMCP API形式で自動登録し、各操作をツールとして整理します。API insightsではAPI形式やMCPツール名でエージェントの通信を絞り込み、性能、エラー、遅延時間、接続先の性能、ツールの検出と実行の比率を確認できます。すべてのエージェント要求が単一の「/mcp」エンドポイントに届く場合も、Apigeeは呼び出されたツール名を各要求に付与します。記事では、insights上の個別ツール名としてmcp-healthcare、mcp-petstore、mcp-statuscodeを挙げています。

MCPは任意機能で、初期状態では無効です。Apigee hybrid 1.17.0以降のクラスターで有効にするには、運用担当者がoverrides.yamlにenableMcpServer: trueを設定し、apigee-operatorチャートをapigee-orgチャートより先にアップグレードします。順序を逆にすると、MCPポッドが作成されないままアップグレードが完了する場合があります。apigee-watcherが設定を取得できるよう、組織ごとに一度許可を与えます。初期設定はレプリカ2台で、自動スケーリングにより10台まで増やせます。ロールバックでは設定値をfalseにしてチャートを1回アップグレードします。MCPの有効化と無効化はいずれもランタイムポッドの段階的なカナリアリリースを伴うため、Googleは承認済みの保守時間帯に変更するよう勧めています。

ApigeeはMCPクライアントのJSON-RPC「_meta」フィールドからW3Cトレースコンテキストを抽出し、「traceparent」と「tracestate」ヘッダーとして転送できます。Googleによると、計測機能を備えた下流サービスはコード変更なしで同じトレースに参加でき、AIクライアント、Apigeeプロキシ、バックエンド実行を通じた単一のトレースIDが得られます。パススルーモードでは、ゲートウェイ自身の基盤スパンを作成せずにコンテキストを転送でき、Googleはこれによりトレース取り込み費用を抑えられるとしています。オープンなMCPコミュニティ提案SEP-2028は、「_meta」からヘッダーへのW3Cトレースコンテキスト転送の標準化を目指しています。Googleによると、そのコンテキストを運ぶOpenTelemetry対応はApigeeですでに利用可能です。