Google、地理空間AIエージェントの提供範囲を拡大
- •Google Earthへの質問機能と開発者向けA2Aサービスで、地理空間推論エージェントの試験利用を拡大
- •4つのベンチマーク評価で、Earth AIツールは3項目の成績を改善。単体のGeminiはUnivEARTHで93.6%
- •2026年のコンゴ民主共和国エボラ流行時、WHOは数分で感染リスクのある集落48カ所と4万5,500人超を特定
Google Researchは2026年10月14日、地理空間推論エージェントの限定的な試験利用を、Ask Google Earthと開発者向けエージェント間連携(A2A)サービスで拡大すると発表しました。発表に合わせて公開した技術報告書では、Earth AIモデル、空間分析ツール、事前計画が複雑な地理分析や予測にどう役立つかを評価しています。Googleによると、このシステムは地球規模のデータを使った複数段階の分析や、独自の予測モデルの訓練ができます。
エージェントはGeminiを、気象、洪水、人口動態、衛星画像に関するEarth AIモデルのほか、Google Maps Platform、Google Earth Engine、Data Commons、Google Dataset Searchに接続します。大量の地図データを処理する前に作業手順を立て、別の作業領域で分析します。地域のデータが少ない場合は代替データを選び、専門家が前提を確認できるよう、計画とデータ出典も示します。組織はCSV表計算ファイル、GeoJSON形式の地図境界、クラウド上の表形式データを提供し、世界規模のモデルやデータ集と組み合わせられます。
報告書はGemini 3.8 FlashとGemini 3.1 Proを使い、4種類の構成を比較しました。単体の言語モデル、基本的なウェブ検索と地図ツールを加えたモデル、事前計画なしでEarth AIツールを加えたモデル、計画機能を備えた完全なエージェントです。評価対象は、外部機関が開発したCBGBとUnivEARTH、Googleが開発して開発用データ分割とともに公開するGeoExpertQueriesとGeoKToolsの4つです。GeoExpertQueriesは専門家の自由形式の作業手順を試し、GeoKToolsは地理空間ツール1~4種類を正しく使う必要がある質問を扱います。スコアは0~100で、3回の実行結果を平均しました。
Googleは、Earth AIツールによってGeoExpertQueries、GeoKTools、CBGBの成績が向上したと報告しました。一方、UnivEARTHでは単体モデルが93.6%を記録しており、Googleは、出典となるNASAの記事と回答が公開されていることが理由とみられると説明しています。自由形式のGeoExpertQueriesでは事前計画が必要ですが、範囲の狭いCBGBとGeoKToolsではEarth AIツールだけで足りるとしています。GeoExpertQueriesは最終回答の正誤ではなく、専門家の作業手順と照らす自動評価で採点するため、Googleは出力を専門家が確認するための初稿と位置付けています。
パートナーによる試験では、世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局が2026年のコンゴ民主共和国(DRC)のエボラ流行時にエージェントを使い、鉱山回廊を地図化しました。数分で感染リスクにさらされた集落48カ所と4万5,500人超を特定でき、通常は数週間かかる作業だったといいます。DRCの国立生物医学研究所は、移動の流れ、過去の感染者数の傾向、Earth AIデータを使い、未感染地域への拡大をPlanetary Prediction Engineで推定しました。People in Needは過去のサイクロン経路14件を分析し、手作業のGIS分析なら数日かかるところ、数分でリスクのある村を特定しました。
GiveDirectlyはアップロードした境界データを使い、サイクロン・マイラの際に風速帯ごとの人口曝露を推定し、ミシシッピ州の竜巻被害も評価しました。危機の規模を把握する作業は数日から数分に短縮されたとしています。WPPはPopulation Dynamics Insightsを独自データと接続し、地理空間マーケティング施策に活用しました。ミルケン研究所は、太陽光発電の可能性、移動状況、交通アクセス、気候リスク、連邦政府の投資対象地域に該当するかを基に、レジリエンス拠点候補の建物1,500棟超を調べました。
Googleはパートナーからの意見を受け、道路網を使った経路検索、大容量データのアップロード、信頼できる地域データの発見機能を改善したと説明しています。Ask Google Earthの拡張された詳細分析機能、独自の作業手順向けの実験的なA2Aサービス、Planetary Prediction Engineについて、限定的な早期利用を提供しています。別の公衆衛生研究では、人口データと衛星データを組み合わせることで、人口統計を基準とした予測より健康結果の予測精度が12%向上し、地図の空間解像度を8倍細かくできました。