Google、健康AI基盤モデル「SensorFM」を発表
- •Google、500万人・1兆分超のウェアラブルデータを用いた健康AI基盤モデル「SensorFM」を開発
- •心血管やメンタルヘルスなど35種類の健康指標を予測し、多くのタスクで従来手法を上回る精度を達成
- •LLMエージェントによる予測ヘッド探索手法を導入し、データ欠損下でも高精度な日次指標推定を実現
Google ResearchおよびGoogle DeepMindの研究チームは、ウェアラブル端末から得られる健康データを学習する基盤モデル「SensorFM」を開発した。論文は2026年5月28日にarXivで公開された。SensorFMは、FitbitやPixel Watchなどの端末から収集された500万人の参加者、1兆分超のセンサー信号を用いて事前学習を行っている。心拍、血中酸素、皮膚温、加速度などを含むマルチモーダルな信号を扱い、心血管、代謝、メンタルヘルス、睡眠など6領域、合計35種類の健康指標を予測する。
モデルは、端末の充電切れやノイズによって欠損しやすいウェアラブルデータを前提に、自己教師あり学習によって訓練された。評価の結果、35種類の判別タスクのうち34タスクで、従来の手作業による特徴量エンジニアリングを用いた教師あり学習モデルを上回る性能を示した。また、センサー信号の欠損に対しても高い堅牢性を持つ。1時間の欠損条件下においても、歩数予測で99.7%、深い睡眠推定で99.9%、軽い運動追跡で99.2%の精度を維持した。
研究では、下流タスクの予測ヘッド設計にLLMエージェントを活用する「classroom」型の探索手法も試みられた。3万件を超える実験の結果、エージェントが設計した予測ヘッドは、単純な線形ヘッドと比較して分類20タスク中16タスク、回帰15タスク中12タスクで性能が向上した。さらに、個人向け健康エージェントへの応用検証では、Gemini 3 Flashによる健康サマリー生成時にSensorFMの予測値を組み込むことで、臨床医による評価が日次指標のみの条件と比較して有意に向上した。
なお、本モデルは臨床診断の代替を目的としたものではなく、リスク評価や長期モニタリングを主眼に置いている。研究チームは、利用データがFitbitやPixel Watchの利用者に限定されており、人口を完全に代表していない点や、入力データが集約された1分単位の特徴量であることによる情報の欠落リスクを限界として挙げている。今後は電子カルテラベルや標準的な生理測定との照合を通じた臨床的検証が必要となる。