Google Research、スマートウォッチで高血圧を探索的に検出
- •Nature掲載の研究で、受動的な高血圧スクリーニングを目指すスマートウォッチAIを報告
- •米国5施設の参加者196人で、24時間自由行動下血圧測定と照合
- •初回検査の感度は65.8%、確認検査の陽性的中率は参加者48人で96.7%
Google Researchのパオロ・ディ・アキレ(Paolo Di Achille)氏とミンザー・ポー(Ming-Zher Poh)氏は、スマートウォッチで高血圧の兆候を受動的に検出するAIシステムを、2026年11月5日付のNature掲載研究で報告しました。「AI-PPG-ACC-HTN」は市販スマートウォッチのセンサーを使い、カフによる校正を必要とせず、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)と照合して検証されました。研究成果はGoogle Healthアプリの血圧傾向機能に反映されました。研究者らは、これは実現可能性を探る研究であり、医療用カフの代替や確定診断ではないと説明しています。
システムは、特定の時点での収縮期・拡張期血圧を推定するのではなく、複数日にわたる持続的な高血圧パターンを検出します。反射光で手首の血液量の変化を測る光電容積脈波法(PPG)と、心臓から血液が送り出される際の動きや微細な手首の振動を記録する加速度計測(ACC)を組み合わせます。センサー波形を埋め込み表現(情報を圧縮した数値表現)に変換し、複数日分を統合して、身長とともに高血圧の確率を推定します。
研究者らはまず、同意を得た2,109人から集めたラベルのないセンサーデータ492,347時間分を用い、1次元の深層畳み込みニューラルネットワークを自己教師あり対照学習で訓練しました。同じ人の15秒間のPPG・ACC波形を潜在空間上で近づけることで、手作業の特徴設計や医学的ラベルなしに生理学的特徴を学習させました。第2段階では、複数日にわたる各人の波形特徴を平均して一時的なノイズを減らし、動脈経路の長さの代用指標として身長を組み合わせ、正則化ロジスティック回帰を適用しました。
米国5施設で行った前向き臨床研究では、既知の心血管疾患がなく、血圧の薬を服用していない同意済みの参加者196人でシステムを評価しました。初回スクリーニングでスマートウォッチの感度は65.8%、特異度は90.0%、陽性的中率(検査陽性者のうち実際に該当する人の割合)は80.6%でした。診療所での初回検査は感度55.3%、陽性的中率77.8%でした。初回の診療所測定で値が高かった48人を対象とした確認検査では、スマートウォッチの感度が78.4%、特異度が90.9%、陽性的中率が96.7%でした。再度の診療所測定ではそれぞれ67.6%、63.6%、86.2%、複数日にわたる自宅測定では89.2%、81.8%、94.3%でした。
予測リスクが高い人の波形には、わずかに狭い脈波幅、遅い収縮期の立ち上がり、低いd/a比が見られました。加速度信号では、K波が深く、IJK複合波が広い傾向も確認されました。著者らは、この探索的研究が、リスクのある人に正式な医療評価を促す受動的な機会検出型スクリーニングの可能性を示すとしています。単独での診断を確立するものではなく、既存または計画中の商用製品機能を示すものでもありません。共同研究にはGoogle Research、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター、ハーバード大学医学大学院が参加しました。