PC市場停滞のIntel、AI需要で復活の兆し
- •Intel、2025年末から2ナノ級「Intel 18A」採用CPUを量産
- •AI需要で株価は2025年6月から2026年6月に約6倍上昇
- •大野社長、AIの進化に半導体が追いつけない「半導体の崖」を指摘
米Intelは、PC市場の成長停滞とAI向け半導体需要の急増という両面の課題に直面しています。インテルの大野誠社長は、同社の最大の経営課題は「変革(トランスフォーメーション)」だと語りました。半世紀ほどで製造技術が古くなり、主戦場のPC市場の成長も止まりつつあると述べています。
Intelは変革を進めており、2025年にリップブー・タンCEOが就任して以降、経営陣を刷新しました。約450人いたVP(副社長級)は約200人に減らされました。技術面では、現在の最先端とされる「2ナノ」級の加工技術「Intel 18A」を開発し、同技術を採用したCPUを2025年末から量産しています。大野社長は、回路を細かくするほど性能と電力効率が高まり、どちらもAI処理に求められる要素だと説明しています。
Intelの株価は2025年6月から2026年6月にかけて約6倍に上昇しました。半導体市場の急成長はAIブームによるものです。大野社長は2025年の学会で「2030年に半導体市場は1兆ドルを超える」と話したものの、2026年時点で「実際には今年超えてしまった」と述べています。ただし、AIの進化に見合う半導体を作り続けるのは容易ではありません。工程は複雑になり、工場で使う電力と水の量も増えています。
AIの進化速度は、従来の「ムーアの法則」(集積度が約2年で2倍になるという経験則)の約5倍に加速したともいわれます。大野社長はこの状況を「半導体の崖」と呼び、電力、コスト、人材、地政学リスクがボトルネックになると述べました。また、AIの利用形態も変化しており、高度な多段階推論の需要が増える中、クラウド側のGPUだけでは処理を賄いきれなくなっています。そこでPCや産業機械などエッジ側でAI処理の一部を担う方法が注目されています。Intelは、クラウドとエッジを使い分けるエージェント型AI「Intel SuperClaw」を公開しています。
こうしたエッジ処理を担うのが、Intelが得意とするCPUや「NPU」(Neural Processing Unit)などの半導体チップです。Intelは日立製作所と組み、次世代の半導体工場づくりにも乗り出しています。記事は、日立製作所主催のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」(2026年9月3~4日開催)の講演を取材したものです。