Meta・ハーバード大、AI分業の条件を研究
- •Meta・ハーバード大など、複数AIエージェントの連携手法ScaleMASを提案
- •ソフト修正では4体が独立した8体と同成績、トークン数は半分近く
- •文書矛盾検出は128体まで改善、定理証明は16体程度で頭打ち
Metaの研究部門FAIRとハーバード大学などの研究者は2026年10月12日、複数のAIエージェントの連携方法を改善する「ScaleMAS」を提案する論文を公開しました。研究者らは、エージェントを増やしても性能が数に比例して伸びない原因を3つに整理し、情報共有の仕組みを中心に据えた調整方法を示しました。
ソフトウェア修正課題では、4体で構成したScaleMASが、独立した8体のエージェントと同じ成績を、トークン数を半分近くに抑えて達成しました。文書の矛盾を検出する課題では128体まで性能が伸び続けましたが、数学の定理証明では16体程度で改善が頭打ちになりました。エージェントを増やす効果は仕事によって異なります。
複数のエージェントに仕事を分ける方式は、企業やAI開発会社の間で広がっています。Gartnerは2025年10月、2026年の戦略的テクノロジートレンドの一つに、複数のエージェントが複雑な目標に協調して取り組む「マルチエージェントシステム」を挙げました。OpenAIとAnthropicの開発基盤には、エージェント間で仕事を引き継いだり、補助エージェントを呼び出したりする機能があります。Googleは2026年10月8日の「Gemini at Work 2026」で、必要に応じて補助エージェントを編成し、並列と逐次の手順を何時間、何日も実行する「Gemini agent」を発表しました。
Googleが紹介した導入例では、シンガポールのDBS銀行が法人与信の審査資料作成に70〜80体の専門エージェントを所定の手順で連結しています。SOMPOは従業員3万4000人に対し、1万体超のカスタムエージェントを展開しました。一方、Anthropicは2025年6月、複数の補助エージェントに探索を振り分ける調査機能で効果があったものの、トークン消費量は通常のチャットの約15倍になったと説明しました。
OpenAIは開発者向けガイドで、まず1体のエージェントから始めるよう勧め、早期の分割は性能を改善せず管理の手間だけを増やす場合があるとしています。AIコーディング企業Cognitionも2025年6月の記事で、互いの文脈を共有しない並列エージェントは矛盾した判断を重ねると警告しました。研究は、情報をどう共有するかと仕事の種類によって、分業の性能や計算量が変わることを示しています。企業が導入を検討する際には、分担する仕事、使う計算資源、情報共有の方法が論点になります。これは記事が挙げる検討点です。