MIT研究チーム、自己組織化する学習機構を構築

MIT AI News2026年10月14日 (水)
  • •MIT研究チームが、単純な接続規則から学習機構を自ら作る人工ネットワークを報告
  • •ネットワークはパターン認識と画像分類を行い、誤差逆伝播型ネットワークと同程度の性能
  • •研究チームは、自己組織化を生物の学習や脳と機械の接続を調べる出発点と位置づけ

MITの研究チームは10月9日、PNAS掲載論文で、接続を変える単純な規則から人工ニューラルネットワークが自ら学習機構を作れると報告しました。マクガバン脳研究所とK・リサ・ヤン統合計算神経科学センターによる研究で、自己組織化する機械ネットワークが、脳の学習を調べる神経科学者に手がかりを与えるかを検討しました。研究者らは、生物学的にもっともらしいかどうかを判断する際、開発者が変更を指示しなくてもネットワークが自ら組織化できるかが一つの基準になると述べています。

共同筆頭著者で博士研究員のチアンリー・リャオは、技術者は通常、訓練データの処理や誤りへのフィードバックに応じて人工ネットワークの接続がどう変わるかを設計すると説明しました。この方法はAIを効果的に訓練できますが、脳には外部の設計者がいないため、生物の学習について分かることは限られる可能性があると研究チームは指摘します。学習規則は脳の領域ごとに異なる場合や、脳の成熟に伴って変わる場合もあります。神経科学者は規則の仕組みと、加齢や病気による変化を調べており、研究チームはその知識を治療法や予防策の開発につなげる可能性に触れています。リャオは応用例として、言語能力を失った人の意思疎通を回復させたり、麻痺のある患者が神経人工装具の手足を操作できるようにしたりする脳・コンピューター・インターフェースも挙げました。

研究チームは、ランダムに接続したニューロンに似たユニットを複数層に重ね、各層の全ユニットに同じ接続調整規則を適用しました。規則の一つは、同時に活性化したニューロン同士の接続が強まるという原理に似ています。ネットワークはパターンを認識し、画像を分類しました。単純な規則から自己組織化するパターンが生まれ、学習に伴って組み替わり、機能する回路の構成要素になりました。モデルは、誤差に応じて接続を調整し性能を高める勾配降下法に似た最適化手法を使いました。

現在のAIの多くは、神経科学者が脳内では働いていない可能性が高いと考えるアルゴリズム、誤差逆伝播法を通じて勾配降下法を使います。研究チームが自己組織化ネットワークをこの方式で学習するよう設計されたネットワークと比較したところ、性能は同程度でした。研究者らは、このネットワークが脳と同じ方法で学習するとは限らないとし、生物学的な妥当性を評価する出発点として自己組織化を位置づけています。論文の主な目的は脳への理解を深めることですが、リャオは、その知識が将来、より高性能または人間に近い方法で動く機械学習システムの構築に役立つ可能性もあると述べました。論文の題名は「生物学的シナプスはいかに勾配学習を自己組織化するか」です。