NH投資証券、全社AI基盤を年内構築へ

Byline Network2026年10月21日 (水)
NH投資証券、全社AI基盤を年内構築へ
  • •NH投資証券、年末の構築を目標に全社AI基盤事業の開始準備
  • •10人以下のAX推進部が担当、来年から事業部の中核業務にエージェントを段階導入
  • •ハーネス、LLMジャッジ、HITLを採用し、金融規制を反映したAIガバナンスを整備へ

NH投資証券は全社AI基盤の構築事業者を選定し、年末の完成を目指して事業開始の準備を進めています。基盤を通じて中核業務プロセスを再設計し、さまざまなAIモデルを社内データや業務システムにつなぐ計画です。AI関連業務は経営戦略本部傘下のAX推進部が担い、同部は10人以下の規模です。現在、業務マニュアルや社内情報を知識ベースとして使う検索拡張生成(社内情報を検索して回答に反映する手法)型チャットボットが、従業員の業務上の質問に答えています。

基盤は、社員がノーコード・ローコード環境で、開発の専門知識がなくても業務用AIエージェントを作り、エージェントの作業手順をつなぐエージェント型ワークフローを組めるよう設計する予定です。同社はこれを基に、現場部門が主導するAI活用を広げる方針です。エージェントの開発にあたっては、実務担当者と業務手順、必要なデータ、最終成果物の形式を検討しています。AIが担う作業と、人が判断し責任を負う役割を分け、複数段階の業務が一貫した流れになるよう設計していると説明しました。

NH投資証券は全社データレイクハウス(データを統合・管理する仕組み)も構築しています。多様なデータを統合・管理して、業務ごとの資料収集や加工の繰り返しを減らし、信頼性の高いデータを安全にAIへ接続する取り組みです。今年は基盤を整え、来年から事業部ごとの中核業務にエージェントを段階的に導入し、収益性を高めることを目指します。現場の実務担当者が自らエージェントを開発・改善するボトムアップ方式も広げる方針です。

回答の正確性を高めるため、回答生成の過程を管理するハーネス、AIの回答を評価する別モデルのLLMジャッジ、人が結果を確認するHITL(人がAI処理の途中や結果を確認する方式)を導入する予定です。AIサービスの企画・開発・展開・運用の全段階に適用するガバナンスも整備しています。関連部門とリスク評価、役割と責任、承認や運用点検の手順を整え、既存の情報保護・コンプライアンス・IT管理体制と連携させる計画です。AI基本法と金融分野のAIガイドラインを反映し、個人情報保護、セキュリティ、内部統制を対象とします。

来年から業務単位の再設計とエージェントの適用範囲を段階的に広げ、エージェントごとに成果指標を設定して導入効果を確認する計画です。効果の大きい領域に資源を配分し、AI投資予算も拡大する予定です。同社は、全社基盤とガバナンスの構築、現場主導のエージェント開発支援を他社との差別化要因に挙げ、AIが証券会社の中核業務の収益性を改善する手段になるとの見通しを示しました。