日俳連、声の生成AI利用指針を発表

Ledge AI2026年10月25日 (日)
日俳連、声の生成AI利用指針を発表
  • •日俳連、声の生成AI利用ガイドラインを10月15日に発表
  • •学習・生成・作品利用の各段階で個別の書面同意を要求
  • •多言語化は言語ごとに同意、故人の声は原則利用禁止

日本俳優連合(日俳連)は2026年10月15日、声優・俳優の声を生成AIで利用する際のガイドラインを発表しました。約2,600人が加盟する同連合は、本人に無断で集めた音声から本人に酷似した合成音声が作られ、商業利用やフェイク動画に使われる問題を挙げています。ガイドラインは実演家の権利と尊厳を守り、制作会社やAI開発企業が事業を適正に進めるための自主基準です。

本人の声を再現するモデルの作成・利用には、「分析・学習」「生成・構築」「出力音声のプロジェクト利用」の3段階それぞれで、本人の個別の書面同意を求めます。学習への同意だけでは、生成音声を作品や広告に使えません。事業者は作品、目的、期間、技術方式を事前に説明し、広告では商品・サービスやキャンペーンごとに、具体的なせりふなどの利用内容への同意も得る必要があります。

将来の利用をまとめて認める包括契約は認めず、別作品や新シリーズに使う際は、その必要が生じた時点で改めて同意を得るよう定めました。同意と契約の期間は原則最長1年で、継続利用には対価や条件の再協議が必要です。長期の制作・開発に合理的な理由があれば1年を超える期間も認めますが、無期限の同意は認めません。

対価は通常の出演料と分け、学習・開発料、生成AI使用料、広告などへの追加使用料、多言語化使用料を定めるよう求めています。金額と支払方法は媒体、展開国、利用実績などを踏まえて協議し、個別の書面契約を結びます。合意できない場合はAIを利用しません。日本語作品をAIで多言語化する場合も、変換する言語ごとに同意が必要です。元の演技のニュアンスや文化的文脈を大きく損なう改変を避け、配信先の国の実演家組合によるAI保護協約などにも配慮するよう求めています。

アニメや外国映画・ドラマの吹き替えなど、演技表現を伴う日本語音声作品では、AIによる実演家の代替を原則認めません。利用する場合は、実演家、声や作品の権利者、音声製作者などの許諾を得て、対価を含む個別契約を結びます。演技の本質を変えないノイズ除去、音質改善、映像の口元に合わせる最小限の音素調整は、実演家と合意した範囲で限定的に認めます。生成音声にはAI生成であること、使用したサービスやモデルの名称、元の音声を提供した実演家の氏名を表示するよう求めます。実演家は氏名の非表示や匿名・変名表記を求められます。

故人の声を使うAIモデルや生成音声の作成、保持、利用は原則禁止です。例外は、死亡時点で具体的な制作が始まっていた出演シリーズの続編や、生前に出演を合意していた企画などに限られ、人間の実演家による代替や引き継ぎが客観的に不可能な未完成部分の補完など、最小限の範囲とします。遺族と生前の所属事務所などから目的、範囲、期間への事前の書面同意を得て、遺族に生前と同等以上の適正な利用料を支払う必要があります。生前に関与していなかった新作、広告、イベントへの利用は認めません。日俳連はガイドラインの定着を進め、「声の権利」の法制化に向け、国や政府機関への働きかけも強化するとしています。