OpenAIの数学論文、検証体制に懸念
- •OpenAIが10月6日、数学の成果372件を含むAI生成のプレプリント722本を公開
- •符号の誤り判明後、OpenAIはプレプリント3本を撤回し、14本を改訂したとRetraction Watchが報道
- •数学者が検証能力と説明の明瞭さに疑問、OpenAIは研究会や会議の支援を表明
OpenAIは10月6日、代数、幾何学、数論、数理論理学にまたがる成果372件を含む、AI生成の数学プレプリント722本を公開しました。公開を受け、AIが科学的発見を速められるか、研究者がその成果を同じ速さで検証できるかをめぐり議論が起きています。数学者からは、論文の推論が他の研究者に理解され、成果を発展させられるほど明確に説明されているかにも疑問が出ました。
この公開に先立つ9月、OpenAIは未公開モデルがナビエ・ストークス問題の解を提案したと主張していました。この問題は、流体の運動を記述する方程式が常に適切な解を生むかを問うもので、約90年前から未解決です。賞金100万ドルのミレニアム懸賞問題7題の一つでもあります。OpenAIによると、モデルは解の提案に約88時間を費やし、その後17時間かけて形式化と検証を行いました。
10月の公開では、OpenAIは社内モデルを使って数千件の数学的な問いに取り組んだと説明しました。また、多くの証明をLeanで形式化した版も公開しました。Leanは、数学的な議論の論理的正しさを確認するプログラミング言語兼証明支援系です。形式検証は、結果の前提、正しさ、意義を独立した数学者が審査することに代わるものではありません。
論文は独立した精査を受けています。Retraction Watchによると、OpenAIは10月7日、符号の誤りを発見してプレプリント3本を撤回しました。その誤りは1本の論文の議論を無効にし、関連する2本にも影響しました。OpenAIはさらに、証明、記述、仮説、引用の問題に対処するため、別の原稿14本を改訂しました。こうした修正を受け、AI生成の大量の研究成果が広く注目される前に、どう評価するかという疑問が強まりました。
数学者の懸念は、研究が答えを出すこと以外に何をもたらすかにも及びます。難問に取り組む過程で新たな手法が生まれ、分野をまたぐつながりが明らかになり、新しい問いにつながることがあります。AIは予想の検証や証明候補の探索、時間のかかる問題への取り組みで研究者を支援できる一方、発見の評価には人間の専門知識が引き続き重要です。OpenAIは、研究者が成果を検討できるよう、研究会や会議などのプログラムを支援すると発表しました。