自然言語からタンパク質候補を設計するAI「Pinal」
- •中国の西湖大学などの研究チームが、機能の説明文からタンパク質候補を設計するAI「Pinal」を開発
- •学習には1億3,500万件のタンパク質配列を使い、17億組のタンパク質・文章ペアを作成
- •試験した蛍光タンパク質候補29件のうち1件、Hタンパク質候補20件のうち5件が機能し、最良候補は出力を1.7倍に増加
中国の西湖大学が率いる研究チームは、望む機能を自然言語で説明するとタンパク質候補を生成するAIモデル「Pinal」を開発しました。研究チームは成果を『Nature』に掲載された論文で報告しました。従来のタンパク質設計ツールでは、モデルを導くために分子構造や幾何学的制約の理解が必要な場合がありました。Pinalはその必要性を減らす設計で、たとえば光を当てると緑色に光るタンパク質を求める指示を入力できます。
Pinalは2つのモジュールで指示をタンパク質配列に変換します。T2structがまず一次元の構造設計図を作り、SaProt-Tがその設計図と元の指示を使って、対応するアミノ酸配列(タンパク質を構成するアミノ酸の並び)を生成します。複数の設計図を作ってそれぞれの配列を設計し、組み合わせを採点して最終候補を選びます。学習では1億3,500万件のタンパク質配列を出発点とし、AIモデルと既存の注釈から機能の平易な説明文を作成しました。その結果、タンパク質と文章のペアが17億組できました。また、既存のAlphaFoldデータベースから予測された三次元構造も取得しました。
研究チームは蛍光タンパク質、プラスチック分解酵素、アルコール脱水素酵素、代謝に関わるHタンパク質の4種類を対象にPinalを試験しました。蛍光タンパク質では5万件の配列を生成し、29件に絞って試験したところ、蛍光を示したのは1件でした。特定の発光波長を指定するなど、精密な制御は依然として難しいと研究チームは説明しています。
代謝に関わるHタンパク質シャトルでは、候補20件のうち5件が機能しました。最良の候補は、炭素を取り込む重要なプロセスの出力を、天然の大腸菌タンパク質を使った場合の1.7倍に高めました。Pinalを日常的な実験室のツールにするには、さらなる研究が必要だと研究チームは述べています。