SNS各社、AI年齢推定で未成年保護を強化
- •SNS各社、行動データなどを使う年齢推定で10代向け保護設定を適用
- •Metaは2025年に対象地域を拡大、Discordは2026年3月に全世界で初期設定を導入
- •試験では16歳の8.5%を16歳未満と誤判定、身分証漏えいと相談しにくさも課題
海外のSNS各社では、利用者の行動やアカウント情報から年齢層を推定し、子ども向け保護設定を適用する動きが広がっています。Metaは2025年4月、成人の誕生日で登録されていても10代の可能性が高いアカウントをAIで検出し、Instagramの「ティーンアカウント」に切り替える米国でのテストを始め、同年9月に英国、カナダ、オーストラリアへ広げました。日本ではティーンアカウントを2025年1月から提供していますが、AIによる自動切り替えの国内導入は確認されていません。推定には、やりとりしたコンテンツの種類、プロフィール情報、アカウント作成時期などが使われると報じられています。Metaは精度向上を続け、誤判定された利用者が設定を変更できる手段も用意しています。
ティーンアカウントは13~17歳向けで、フォロー中または既につながっている相手からのみメッセージを受け取り、午後10時から午前7時までは通知を止める「スリープモード」などが自動で有効になります。16歳未満が保護を弱めるには保護者の承認が必要です。2026年5月から日本で順次適用されているコンテンツ基準は、13歳以上向け映画のレーティングを参考にしています。強い言葉や危険なスタントなどを含む投稿は、フォロー相手が共有した場合も表示されず、年齢にふさわしくない投稿を繰り返すアカウントとは相互にフォローやDMができません。保護者はさらに厳しい「コンテンツを制限」設定も選べます。
DiscordはInstagramと異なり、全員に10代向け設定を適用してから成人を判定する方式を採り、2026年3月に全世界で初期設定として導入を始めました。センシティブな画像はぼかされ、成人と確認された利用者だけがぼかしを外したり、年齢制限のあるサーバーやチャンネルに入ったりできます。知らない相手からのDMは別の受信箱に振り分けられます。独自モデルはアカウント利用期間、端末、利用状況、コミュニティ全体の傾向を使い、判断できない場合は顔写真による推定または身分証の提出を求めます。Robloxは2026年1月から日本を含む世界で、チャット利用前の顔による年齢推定を求めています。ChatGPTも同月、利用状況から18歳未満かを予測し、未成年向け保護を自動適用する機能を世界で順次導入しています。
年齢推定なら身分証を出さずに済む場合があり、氏名、住所、顔写真、番号などの漏えいリスクを避けられます。2026年9月、タイムズカーへの不正アクセスで退会者を含む約660万件のアカウント情報が取得され、そのうち約160万件では運転免許証や学生証などの画像も漏えいしました。Discordは2025年10月、年齢確認用に提出された身分証画像約7万件が委託先から流出した可能性を発表しました。
年齢推定には誤判定の課題もあります。オーストラリア政府の委託による「Age Assurance Technology Trial」は、技術は全体として高精度で実施可能と結論づけましたが、境界年齢の前後では誤りが起きやすいとされます。16歳を境にした場合、本当は16歳の人の8.5%が「16歳未満」と判定されたと報じられました。誤判定から戻すには顔写真や身分証で証明するサービスが多く、本人確認書類を出すリスクが残ります。18歳になったばかりの高校3年生と17歳の高校生のSNS利用に大差がない場合もあり、行動データだけで境目を正確に見分ける難しさから、スマートフォンの契約時やアプリストアで年齢を確認する仕組みを求める声もあります。
子どもが成人として登録すると、知らない相手からのメッセージ制限や刺激の強い投稿の非表示、保護者の見守り機能が働かなくなります。日本では2026年8月から、Instagramのペアレンタルコントロールを使う保護者に対し、子どもが深刻な悩みに関わる言葉を短期間に繰り返し検索した場合に通知する仕組みが提供されています。正しい年齢登録が機能の前提です。年齢を偽った子どもは、トラブル時にルール違反が知られることを恐れて保護者へ相談しにくくなると記事は指摘します。Instagramで保護者の許可なしにライブ配信できなくなった子どもが、18歳以上でなければ配信できないTikTokに年齢を偽って登録する例もあるとしています。日本ではこども家庭庁の有識者会議が年内に最終報告書をまとめる予定で、SNS事業者への年齢確認義務付けなどのルールづくりが進んでいます。