AIが過冷却水の分子構造を解明
scitechdaily.com
2026年7月13日 (月)
- •大阪大学の研究チームが、過冷却水中の分子構造を分析するAIフレームワークを開発した。
- •ニューラルネットワークが16種類の構造記述子を比較し、高密度液体と低密度液体の状態を識別した。
- •本研究は、微視的な水素結合と熱力学的な挙動を関連付け、水の特異な性質の解明を目指す。
大阪大学の研究チームは、通常の凍結温度以下でも液体状態を維持する「過冷却水」の分子構造を分析するAIフレームワークを開発した。2026年7月6日に「Communications Chemistry」で発表された本研究は、機械学習を活用して、高密度液体(HDL)と低密度液体(LDL)の状態遷移を記述する手法を評価している。これら2つの構造は、水内部で競合する水素結合ネットワークから生じ、凍結時の膨張など、水の物理的な異常性の基盤となっていると考えられている。
研究チームは、人間の認知プロセスを模倣するニューラルネットワークモデルを採用し、分子動力学シミュレーションから得られた構造データを用いて学習を行った。AIは、四面体結合次数や局所密度を含む16種類の構造記述子を比較し、それぞれの識別効率を測定した。研究の結果、AIは熱力学的な挙動に関連する微視的変化を最も効果的に表現できる記述子を特定した。
論文の責任著者であるカン・キム(Kang Kim)と筆頭著者である松林伸幸(Nobuyuki Matubayasi)が率いるこの研究は、水の構造変化を測定するための統一的な手法の提供を目的としている。科学者たちは、これらの記述子を統合的な尺度で評価することで、微視的な分子配置と巨視的な物理特性を関連付けるツールを確立した。このアプローチにより、他の液体と異なる水の特異な挙動の理解が深まり、様々な温度・圧力条件における水の根本的な性質を調査する将来的な手法の改善が期待される。