AIが生産性を向上させる一方で収益拡大には苦戦
- •多くの組織がAIによる生産性向上を報告する一方で、ビジネスの収益成長には結びついていない。
- •意思決定者385人を対象とした調査で、AIを中核ワークフローに完全統合した組織はわずか18%である。
- •レガシーインフラの制限とAIエージェントのルールベースのガイドライン欠如が拡張性の障壁となっている。
ハーバード・ビジネス・レビュー・アナリティック・サービスとAppianが2026年7月1日に発表した調査報告書によると、59%の組織が人工知能(AI)の導入に成功しているものの、その取り組みの多くはインクリメンタルな生産性向上に留まっており、顕著な事業成長には至っていない。AIの意思決定者385人を対象とした調査では、64%が生産性の向上を、58%が業務効率の改善を報告した。その一方で、収益の改善を確認できたのはわずか30%であり、投資収益率(ROI)の向上を実感しているのは35%であった。
組織内のワークフローにおけるAI適用には成熟度の面で重大な乖離が存在する。現時点でAIを主にワークフローへ統合しているのは回答者の18%に過ぎず、34%は依然としてAIを独立したツールとして扱っている。データの断片化や低品質なデータが34%、システム統合の欠如が31%の障壁として指摘された。調査によれば、レガシーインフラの近代化を優先する組織ではAI導入の成功率が76%に達するものの、実際に近代化に着手している組織は45%に留まる。回答者の約7割が、旧式のレガシーシステムがAI能力の拡張を制限していると回答した。
エージェンティックAIの活用範囲も部署ごとにばらつきがある。ソフトウェア開発(35%)、IT運用(31%)、マーケティングおよび営業(26%)では導入が進んでいるが、調達(9%)、製造(10%)、サプライチェーン(11%)といった中核領域での導入率は低い。将来的な拡張にはガバナンスが不可欠であり、92%の参加者がAIエージェントの安全な運用のためにルールベースのガイドラインが必要であると合意している。しかし、エージェンティックAIをすでに利用している組織は25%、導入を検討中の組織は62%に上るにもかかわらず、ルールを策定済みの組織は半数以下の48%に留まった。