豪AI安全研究所、初代所長にケイト・コンロイ氏を任命
- •ケイト・コンロイ氏が産業科学資源省傘下のオーストラリアAI安全研究所の初代ゼネラルマネージャーに就任した。
- •同研究所は、AIリスクの監視および評価を目的として、4年間で2990万ドルの政府予算を獲得した。
- •オーストラリア政府は英国と覚書を締結し、AI安全性の研究成果や評価データの共有を開始する。
ケイト・コンロイ氏が、AIの新たな能力を監視・評価する政府機関であるオーストラリアAI安全研究所の初代ゼネラルマネージャーに就任した。産業科学資源省内に設置される同研究所は、独立した規制当局ではなく、AI安全性に関する専門知識を集約する中心的なハブとしての役割を担う。哲学の研究者であり、オーストラリア空軍の予備役でもあるコンロイ氏は、軍における責任あるAIイニシアチブを主導し、政府によるAI利用に関する国家フレームワークを共同執筆した経歴を持つ。今回の任命は、2025年に発表された政府の国家AI計画に基づくもので、研究所の運営費として4年間で2990万ドルが割り当てられている。
新設された同機関は、AIモデルの構築や学習過程に関連するアップストリームリスクと、医療や金融、消費者製品などの分野で生じる現実的な被害であるダウンストリームハームの双方を評価する。この範囲には、生物兵器や暴走システムなどの存亡に関わる脅威の調査に加え、差別やプライバシー侵害といった差し迫った懸念への対応も含まれる。ニューサウスウェールズ大学のAI研究者であるトビー・ウォルシュ氏は、AIに対する高い不信感がある中で、同研究所が限られたリソースをいかに戦略的に配分し、実質的な支援を提供できるかが重要だと指摘した。世論調査では、68%のオーストラリア人がAIによる意思決定の制御不能化を懸念しており、81%が組織によるAI利用に対する強力な規制を支持している。
オーストラリアのこの動きは、AI安全管理に向けた国際的な連携の枠組みの一部である。政府は最近、英国と覚書を締結し、オーストラリアAI安全研究所と英国のAI安全研究所を連携させることに合意した。これにより、新たな能力に関する情報の共有や、高リスクモデルの試験プロトコルに関する共同研究が促進される。オーストラリアの研究所の正式な稼働日は未定だが、当局は近日中に業務を開始するとしている。今回の立ち上げは、包括的なAI法案の策定を見送り、既存の行政機関を活用して監視を行うという政府の戦略的転換を示すものである。