MetaのAIモデルがローレンス・バークレー国立研究所のデータ解析を加速
- •バークレー国立研究所はMetaのSAM 3とDINOv3を活用し、膨大なX線イメージングデータを解析している。
- •SYNAPS-Iプロジェクトにより、3D画像解析にかかる時間を1ヶ月から約15分に短縮した。
- •研究チームはこれらのモデルを300基のA100 GPUに展開し、セキュアな国立コンピューティング環境で運用している。
ローレンス・バークレー国立研究所は、先端光源施設(ALS)で発生する膨大なデータボトルネックを解消するため、MetaのオープンソースAIモデルを導入した。ALSのビームラインは、近年のハードウェア強化により、データ生成速度が6秒に1枚から1秒間に10万枚へと激増した。年間数ペタバイトに達するこのデータ量は、従来の手動解析手法の限界を超えている。
この課題に対処するため、同研究所はSYNAPS-Iプロジェクトにおいてセグメンテーション(画像データ内の対象領域を特定して抽出する処理)モデルであるSAM 3とDINOv3を活用している。ホワイトハウスの「2025 Genesis Mission」の一環として立ち上げられた本プロジェクトでは、DINOv3が全体的な構造コンテキストを把握し、SAM 3が画素レベルで正確な境界を描画する。研究チームは科学的なイメージングデータを用いてモデルを微調整し、国立エネルギー研究科学計算センター(NERSC)の300基のA100 GPU上でリアルタイム処理を可能にした。
ブドウの干ばつ耐性に関するデモンストレーションでは、マイクロCTスキャンから植物の通水組織である道管を特定し、3Dボリュームを構築した。かつてはタイムステップごとに1ヶ月の手動アノテーションを要していたが、現在ではわずか約15分で再構築とラベル付けが完了する。この処理速度により、研究者は実験終了後の解析を待つことなく、実験中に生物学的プロセスを調査できるようになった。
Metaのモデルがオープンソースであることは、国家プロジェクトにとって極めて重要である。国立研究所は機密データを外部クラウドサービスではなく、政府管理下のセキュアなインフラ上で保持する必要があるためだ。アルゴンヌ、ブルックヘブン、オークリッジを含む5つの国立研究所から60人の研究者がSYNAPS-Iに参加している。米国エネルギー省(DOE)次官のダリオ・ギル(Dario Gil)は、AIと実験システムを統合することで、科学探究が適応的かつ自動的な意思決定へと移行すると強調した。Genesis Missionの拡大に伴い、チームは将来的にデータ処理のみならず、仮説生成や知識共有を自動化する知的な発見プラットフォームの構築を目指す。