Sakana AI、製品展開を加速
- •Sakana AIは2026年、Sakana Chat、Marlin、Fugu、Translateを相次いでリリースした
- •大村壮太は2026年2月から、Sakana AIの独立した製品チームを率いている
- •Sakana Marlinは研究支援から、人間とAIによる意思決定ワークフローへの拡張を目指す
東京拠点のAI企業Sakana AIは2026年、研究開発中心の姿勢から製品提供へ軸足を移し、4つの製品を相次いでリリースした。2026年3月にSakana Chatを公開し、その後にSakana Marlin、Sakana Fugu、Sakana Translateが続いた。製品開発責任者の大村壮太は、日本本社に近い場所で製品づくりの判断を保ちながら、日本発の製品を世界市場に向けて作ろうとしていると述べた。
大村は2025年7月にSakana AIへ入社した。それ以前はデロイト トーマツ コンサルティング合同会社で、スーパーや鉄道会社など日常サービス企業のITシステム再構築に携わり、その後Coincheckで暗号資産取引やステーキングサービスを含む事業を管理した。CoincheckからSakana AIへ移った理由について、ブロックチェーン、NFT、Web3に資金、人材、規制議論、大企業の関心が集まる様子を見たうえで、2025年時点で生成AIが最も前のめりな産業だと判断したと説明した。
大村が入社した時点で、Sakana AIに製品チームはなかった。同社には基盤AIモデルなどの技術に取り組むResearchチームと、その成果を企業顧客向けに使うAppliedチームがあった。2025年夏ごろ、大村とAppliedチームの若手メンバーは製品開発に関する非公式の検討を始めた。共同創業者で会長の伊藤錬が、モデル開発をSakana AI自身の事業にどう結びつけるかを問いかけた後、大村は製品事業計画を提示した。製品の取り組みはAppliedから一部独立し、Sakana Chatのリリースが決まった段階で完全に独立した。大村は2026年2月からそのチームを率いている。
4製品は、モデル体験と複数モデルを使うシステムに分かれる。Sakana ChatはSakana AIの旗艦モデルNamazuで動くチャットサービスで、Sakana TranslateはNamazuを使った翻訳サービスだ。Sakana Fuguはオーケストレーション(複数AIモデルの連携制御)を基盤にし、開発者向けにAPIで提供される。Sakana MarlinはAB-MCTS(時間をかけて推論経路を探索する手法)に基づくリサーチサービスで、Sakana AIは仮想CSO、つまり最高戦略責任者への発展を目指している。
大村によると、CEOのデビッドは2026年をSakana AIが製品を出す年に位置づけ、Sakana Chatに続いてSakana Marlin、Sakana Fugu、Sakana Translateを投入した。大村はこの速度を「AI時代の標準」と表現した。AIによってプロトタイプ作業が数カ月から数週間、または数日に短縮できるためだ。Sakana AIは1年かけて研究してから作るのではなく、まずリリースし、実際のユーザー反応を見て素早く軌道修正したい考えだ。
Sakana AIは、特定の1業界に縛られない製品を選んだ。大村によれば、翻訳、リサーチ、チャットによるコンサルティングは多くの企業で使われる。同社は市場規模、潜在価値、自社が勝てると見込む領域を比較して4製品を選定した。特化版の可能性も残っており、Sakana AIはSakana Marlinの金融版と製造業版を積極的に探っている。
大村は、Sakana AIの製品方針は単一モデルへの依存を避ける考えに基づくと述べた。モデルには訓練データや設計に由来する癖、強み、弱みがあり、サプライチェーンリスクも無視しにくくなっているという。Sakana ChatとSakana Translateは、日本語文脈向けに追加訓練されたNamazuをユーザーが体験できるサービスだ。Sakana Fuguは1つのタスクに複数モデルを組み合わせ、Sakana Marlinは複数モデルにより長い時間をかけて推論させる。
Sakana Marlinの計画上の方向性は、仮説思考に基づく意思決定プラットフォームだ。仮説思考は経営学者の内田和成に関連づけられるサイクルで、調査、仮説形成、実行、結果検証、仮説修正から成る。大村は、現在のSakana Marlinが担うのは「調査」の段階だけだと述べた。投資の例では、成長産業とシナジーを特定し、最初の100から200社のリストを有望な10社へ絞り込んだ後、投資スキームとリターンシナリオをシミュレーションする使い方を説明した。