サプライチェーンにおけるAI導入、本格運用の壁
SupplyChainBrain
2026年5月12日 (火)
- •サプライチェーンのAIパイロット運用で本格展開に成功したのは10%未満
- •調査対象のサプライチェーン組織の74%が依然として計画・ロードマップ段階に留まる
- •プロジェクト失敗の主な要因は技術力ではなく、業務プロセスの不備や現場の摩擦
GEPとバージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスの共同レポートによると、サプライチェーンにおけるAIプロジェクトの大半は本格運用に至っていない。サプライチェーン専門家の半数以上が何らかの形でAIを活用していると回答しているが、パイロット運用から全社規模の展開へと移行できたのは10人に1人未満である。また、74%の組織が計画段階で足踏みしており、先行調査ではAI投資の最大95%が停滞しているとの試算も出ている。
研究チームが12業界のサプライチェーン担当役員180名を調査した結果、最大の障壁は技術自体ではなく、それを支えるビジネスプロセスの欠如であることが判明した。トップダウンの施策が現場の運用上の抵抗に遭ったり、機能不全に陥ったレガシーシステムの上にAIを実装しようとしたりすることで、プロジェクトが失速するケースが頻発している。AI導入を「業務変革(ビジネスワークフローの根本的な再構築)」として扱わないことが、多くのプロジェクトを停滞させているとレポートは指摘する。
成功には、異なるタイムラインで複数のプロジェクトを管理するポートフォリオ・アプローチと、部門横断的な機会を監督する専用のステアリングコミッティ(運営委員会)が不可欠である。研究者が「パフォーマンスエリート」と呼ぶ成功企業は、AIスペシャリストとプロセス管理に長けた現場スタッフを組み合わせて活用している。最終的に、効果的なステークホルダーの関与と十分な準備が整った労働力こそが、モデルそのものよりも大きな競争優位性をもたらすと結論付けている。