判断型AIは、エージェントの案内役と門番としての役割を果たせるか?
AIB DecisionBench-Agentは、判断型(Decision)AIがAIエージェントの中で担う実務上の役割を測定するベンチマークです。ツールを呼び出すかどうかを判断する案内役と、危険な依頼や回答を排除する門番としての役割を測定し、難易度の高い知識問題を通じて判断型モデルの限界分野もあわせて確認します。
- 23
- モデル
- 3
- テスト
- 2,508
- 問題
- 80,691
- 判断
設計の意図
判断型AIは文章を生成せず、提示された選択肢から一つを確率とともに高速かつ低コストで選択します。そのためAIエージェントの中で、依頼をどこに振り分けるか、ツールを呼び出してよいか、危険な内容かといった判断を任されることが多くあります。こうした役割を実際に果たせるかを、研究者が用いる公開テストで検証します。
測定方法
三つの公開データセットから固定シードで問題を抽出し、すべてのAIモデルに同じ問題を同じ形式で尋ねます。選択肢のある問題は順番を逆にしてもう一度尋ね、選択肢の位置によって答えが変わらないかも確認します。問題の原文は公開しませんが、データセット・バージョン・シードを明示しているため、誰でも同じ条件で再測定できます。
指標
- 総合スコア — 案内役スコアと門番スコアを同じ比重で平均した100点満点のスコア
- 案内役(When2Call)— ツールを呼び出すか、追加情報を求めるか、対応できないと伝えるかを選ぶ正答率
- 門番(WildGuardTest)— 依頼が有害か、回答が有害か、回答が依頼を拒否しているかを判別したスコアの平均
- 高難度の知識(HLE選択式)— 難易度の高い知識問題の正答率。スコアには反映せず別途示します
- 応答時間・コスト — スコアには反映せず、別の列で示します
2026/10/17~2026/10/24の測定では、判断型AI 23種のうち総合スコア1位はD1 Ultra(92.8点)でした。
- 案内役の1位はD1 Ultra — 案内役スコア89.8
- 門番の1位はDrex Max — 門番スコア96.7
- ツールの使用や情報の確認が必要な質問に即答してしまった割合(常に不正解)はDecider 1が最も高くなりました(24.6%)
総合順位
- 案内役の役割
- 89.8
- 門番の役割
- 95.9
- 高難度の知識
- 16.1
- 時間・1,000件
- 10分10秒
- コスト・1,000件
- $0.024
- 案内役の役割
- 89.2
- 門番の役割
- 95.2
- 高難度の知識
- 15.4
- 時間・1,000件
- 10分15秒
- コスト・1,000件
- $0.013
- 案内役の役割
- 89.2
- 門番の役割
- 95.1
- 高難度の知識
- 15.4
- 時間・1,000件
- 10分28秒
- コスト・1,000件
- $0.013
- 案内役の役割
- 86.2
- 門番の役割
- 94.2
- 高難度の知識
- 12.8
- 時間・1,000件
- 14分52秒
- コスト・1,000件
- $0.011
- 案内役の役割
- 85.4
- 門番の役割
- 94.6
- 高難度の知識
- 19.5
- 時間・1,000件
- 7分12秒
- コスト・1,000件
- $0.039
- 案内役の役割
- 83.0
- 門番の役割
- 96.7
- 高難度の知識
- 19.3
- 時間・1,000件
- 9分23秒
- コスト・1,000件
- $0.039
- 案内役の役割
- 83.6
- 門番の役割
- 94.7
- 高難度の知識
- 20.9
- 時間・1,000件
- 7分2秒
- コスト・1,000件
- $0.039
- 案内役の役割
- 84.0
- 門番の役割
- 93.2
- 高難度の知識
- 9.6
- 時間・1,000件
- 7分46秒
- コスト・1,000件
- $0.0065
- 案内役の役割
- 84.4
- 門番の役割
- 91.6
- 高難度の知識
- 12.2
- 時間・1,000件
- 11分13秒
- コスト・1,000件
- $0.023
- 案内役の役割
- 84.4
- 門番の役割
- 90.5
- 高難度の知識
- 14.0
- 時間・1,000件
- 10分48秒
- コスト・1,000件
- $0.035
- 案内役の役割
- 86.4
- 門番の役割
- 87.6
- 高難度の知識
- 11.6
- 時間・1,000件
- 12分23秒
- コスト・1,000件
- $0.023
- 案内役の役割
- 87.8
- 門番の役割
- 84.9
- 高難度の知識
- 11.4
- 時間・1,000件
- 16分20秒
- コスト・1,000件
- $0.0058
- 案内役の役割
- 79.0
- 門番の役割
- 92.9
- 高難度の知識
- 11.4
- 時間・1,000件
- 10分12秒
- コスト・1,000件
- 期間限定無料
- 案内役の役割
- 76.0
- 門番の役割
- 94.9
- 高難度の知識
- 12.8
- 時間・1,000件
- 8分22秒
- コスト・1,000件
- $0.166
- 案内役の役割
- 76.6
- 門番の役割
- 90.4
- 高難度の知識
- 12.8
- 時間・1,000件
- 4分24秒
- コスト・1,000件
- $0.065
- 案内役の役割
- 74.2
- 門番の役割
- 87.0
- 高難度の知識
- 14.6
- 時間・1,000件
- 1時間20分
- コスト・1,000件
- $0.044
- 案内役の役割
- 73.0
- 門番の役割
- 87.7
- 高難度の知識
- 9.8
- 時間・1,000件
- 5分49秒
- コスト・1,000件
- $0.103
- 案内役の役割
- 68.2
- 門番の役割
- 74.8
- 高難度の知識
- 9.8
- 時間・1,000件
- 13分54秒
- コスト・1,000件
- $0.024
- 案内役の役割
- 61.2
- 門番の役割
- 81.6
- 高難度の知識
- 14.0
- 時間・1,000件
- 8分37秒
- コスト・1,000件
- $0.044
- 案内役の役割
- 75.4
- 門番の役割
- 66.5
- 高難度の知識
- 11.0
- 時間・1,000件
- 7分5秒
- コスト・1,000件
- $0.061
- 案内役の役割
- 46.6
- 門番の役割
- 87.3
- 高難度の知識
- 12.4
- 時間・1,000件
- 13分51秒
- コスト・1,000件
- $0.037
- 案内役の役割
- 30.2
- 門番の役割
- 65.2
- 高難度の知識
- —
- 時間・1,000件
- 11分8秒
- コスト・1,000件
- $0.029
- 案内役の役割
- 40.4
- 門番の役割
- 18.8
- 高難度の知識
- 11.6
- 時間・1,000件
- 7分9秒
- コスト・1,000件
- 期間限定無料
総合スコアは、案内役スコア(When2Callの正答率)と門番スコア(WildGuardTestのF1)を同じ比重で平均した値です。高難度の知識(HLE選択式の正答率)と時間・コストは参考として併せて示しており、スコアには反映されません。±は問題を再抽出して算出した95%区間で、提供元が判定を拒否した問題は不正解として扱います。
信頼度
点1つ=確信度の区間・大きさ=その区間の回答数
データセット
案内役の役割 — When2Callの評価情報
ユーザーのメッセージと利用可能なツールの一覧をもとに、四つの応答(ツール使用・追加情報の確認・対応不可の案内・即答)から適切なものを選びます。正解は最初の三つのいずれかで、「即答」はツールを使わず根拠なく作られた答えのため、常に不正解です。
When2Call
英語門番の役割 — WildGuardTestの評価情報
ユーザーの依頼とAIの回答を読み、三つの質問に「はい・いいえ」で答えます — 依頼は有害か、回答は有害か、回答は依頼を拒否しているか。
「回答が有害」に当たる行は一部に限られるため、すべて「いいえ」と答えても正答率は高くなります。そのため正答率ではなく、見逃しと誤検出をあわせて反映するF1スコアで採点します(元の論文と同じ方式)。
WildGuardTest — harmful request
英語WildGuardTest — harmful response
英語WildGuardTest — refusal
英語高難度の知識 — HLEの評価情報
案内役・門番は、判断型AIがエージェントの中で実際に担う仕事なので総合スコアに含めます。高難度の知識はその逆で、専門知識が必要な判断まで判断型AIに任せてよいのか、汎用LLMに引き継ぐべきかを見極める参考指標です。問題は専門家が作成した難易度の高い知識問題(Humanity's Last Exam)のうち文章だけの選択式で、選択肢が5〜26個あるため、無作為に選ぶと平均16.5%正解します。測定する能力が役割の遂行とは異なるため、総合スコアとは分けて示します。
無作為に選んだ場合の期待正答率は16.5%です。測定を終えた23種のうち3種がこれを上回りました。
測定不可:一度に受け付けられる選択肢の数や入力の長さが不足し、このテストの問題の2%を超えて処理できなかったモデルです。処理できた問題だけで算出すると選択肢の少ない問題や短い問題だけが残り、スコアが高く出るため、この項目は表示していません。2%以下の場合は、処理できなかった問題のみを除いて算出します。
Humanity's Last Exam — multiple choice (text only)
英語測定方法
1問が採点されるまで
- 1
同じ問題
データセットから固定シードで抽出した問題を、すべてのAIモデルに同じ形式で送信します。長すぎる問題(8,000字超)は事前に除外しました。
- 2
選択肢ごとの確率
モデルは選択肢ごとに確率を返し、最も高い選択肢を答えとして採点します。「はい・いいえ」の問題は「はい」の確率が0.5以上なら「はい」です。
- 3
順番を逆にもう一度
選択肢のある問題は順番を逆にしてもう一度尋ねます。スコアは元の順番の答えで算出し、逆順の答えは選択肢の位置によって答えが変わった割合の測定にのみ使います。
- 4
役割ごとにまとめる
案内役は正答率、門番は三つの質問のF1スコアの平均、高難度の知識は正答率で算出します。総合スコアは案内役と門番を同じ比重で平均します。
モデルが受け取る質問
モデル別の全指標サンプル・確率の質・質問形式別/言語別の正答率・応答時間・コスト
サンプル数、確率の質、質問形式別・言語別の結果、応答時間の分布、コストです。測定中のモデルは、得られた回答だけで計算した値です。
テストデータデータセットごとの役割・問題数・ライセンス・元データのrevision
再現情報抽出シード・問題の指紋
問題は固定シード20261003で抽出し、データセットのバージョン(コミット)と問題のフィンガープリントを記録して同一の問題であることを検証しています。問題の原文は、データセットの利用条件に従い公開していません。
案内役 — When2Call実際の問題と同じ形式で作成した例(実際の問題ではありません)
状態には利用可能なツールの一覧とユーザーのメッセージを、選択肢には四つの応答文を入れます。選択肢の順番は問題ごとにシャッフルします。
門番 — WildGuardTest実際の問題と同じ形式で作成した例(実際の問題ではありません)
依頼(と回答)を状態に入れ、「はい・いいえ」の質問を一つ尋ねます。1行につき三つの質問(依頼の有害性・回答の有害性・拒否)を別々に送ります。
高難度の知識 — HLE選択式実際の問題と同じ形式で作成した例(実際の問題ではありません)
問題文は状態に、選択肢は「A. …」の形式のまま入れます。ほかの選択肢をアルファベットで指す選択肢(「AとBの両方」など)があるため、アルファベット表記を残しています。
知っておきたいこと採点のルールと測定の条件
- 提供元が内容を理由に判定を拒否した場合は不正解として扱います。門番スコアでは正解と逆の回答として扱います。
- エラーやタイムアウトは再リクエストで補完し、採点からは除外します。応答率が100%に達していないモデルは「測定中」と表示します。
- 8,000字を超える問題は除外しました。入力上限の短いモデルが長い問題でのみ失敗することを防ぐためです。
- 無料の利用上限があるモデルは、数日にわたって測定します。
- 一部の提供元は規約上、受け取った入力を学習に利用できるため、次のバージョンでは問題が学習されている可能性があります。
- 問題は英語の原文のまま送ります。
- Perplexity Decider v1 27Bは、測定時点で別名のモデルと同じ答えを返した(すべての問題で一致)ため、同じモデルとみなして順位から除外しました。
よくある質問
Q.AIB DecisionBench-Agentは何を測定するのですか?
A.判断型AIがAIエージェントの中で担う二つの実務、すなわちツールを呼び出すかどうかを判断する案内役と、危険な依頼や回答を排除する門番を公開テストで測定します。難易度の高い知識問題で限界も別途測定します。
Q.DecisionBench-KJ・Gameとは何が違いますか?
A.KJは韓国語・日本語の文章をどれだけ正確に判断できるか、Gameはリアルタイムの状況で遅れずに判断できるかを測定します。Agentはエージェントの中での役割を英語の公開テストで測定し、公開データセットを用いるため誰でも同じ条件で再測定できます。
Q.最も高かった判断型AIはどれですか?
A.2026/10/17~2026/10/24の測定では、23種のうち総合スコア1位はD1 Ultra(92.8点)です。案内役の1位はD1 Ultra、門番の1位はDrex Maxです。
Q.HLEはなぜ総合スコアに入れないのですか?
A.判断型AIは難易度の高い知識問題では正答率が低いため、スコアに反映すると案内役・門番での差が見えにくくなります。そのため「高難度の知識」として別途示します。
Q.門番はなぜ正答率ではなくF1スコアで測定するのですか?
A.有害な回答は全体の一部に限られるため、すべて「有害でない」と答えても正答率は高くなります。F1スコアは、有害なものを漏れなく見つけたかと、無害なものを有害と誤って判定しなかったかをあわせて評価します。
Q.Artificial Analysis Decision Indexと同じベンチマークですか?
A.違います。公開テストの一部(When2Call・WildGuardTest・HLE)は重なりますが、測定・採点・スコアの組み立ては私たちが独自に決めており、ほかの場所の結果データは使っていません。二つのスコアは比べられません。
測定してほしい判断型AIはありますか?
Agentベンチマークに加えたい判断型AIがあればお知らせください。確認のうえ、次の測定に反映します。
D1 Ultra
Jev 1.14
Microsoft-Decision-1
Clef
Classify-1